料理研究家も兼業していると書きましたが、そちらのレクチャーも忘れてはなりません。


 やはり“食べ物”に関することは、食い付きがいいですね。


 以前、どういったテレビ番組に出演したのかを解説し、その際に作った料理のサンプルを見せましたが、注目度は抜群でしたね。


 長時間、白ねぎの事ばかり話していたので、まあ、子供ですし、集中力が切れて散漫になっていた子もいましたが、そこは料理の魔力。


 やはり胃袋を掴むのは最強の誘引策である。


 料理の話になると食い付いて来て、あれこれ質問も飛び出す勢い。


「テレビに出るとかすげぇ~」などと言われて、こちらも少しばかり気恥ずかしいですね。


 たまたま仕事が回って来て、ご縁があって何本か出演しましたが、子供たちの興味を引けたのであれば、出演した甲斐があったと言うものです。


 自分は元々、大阪や京都で調理師として働いていましたが、うだつの上がらぬ日々に悶々とし、脱サラ農家を目指しました。


 そこから今日にいたるまでの苦労話をして、持っている料理のスキルを活かし、こちらでも活動中であると話しました。


 この話には食い付きが良かったので、話しているこちらもノリノリでした。


 ここの辺りは料理人としての自分の努力が巡り巡って報われた想いであり、感無量と言ったところです。


 昨今、農家の後継不足に悩むブランド産地も多く、高齢化が進む一方です。


 やはり、若い頃より農業や野菜に慣れ親しみ、それを取り扱ってくれる職業に将来就いてくれれば、これに勝る喜びはありません。


“食育”の重要性を理解しながらも、やはり事業拡大に邁進していて時間が取れず、また実子もいない独身ですので、学校にも関わりなく過ごしてきましたが、ここへ来てようやくその想いが遂げられたと感じ入りました。


 食は生きていく上で基本中の基本であり、食べなくては誰も生きてはいけません。


 しかし、その事を分かっていながら、『勝手に食べ物が湧いて出てくる』と勘違いしている輩もまた多すぎます。


 スーパーの店先に並ぶ食料品は、どこからともなく湧いて出てきたわけではありません。


 米や野菜は農家が、魚は漁師が、卵や肉は畜産家が生み出し、それぞれが都会に運ばれて流通してきたものです。


 都会の人口を支えているのは他でもない、郊外や地方にある農園や厩舎、あるいは漁場です。


 都会にはそんなものがない以上、供給が止まればたちまち飢えてしまいます。


 それを子供のころから理解してもらうために、“食育”にはもっと力を入れていくべきだと考えている現場の人間です。


 食糧生産の担い手がいなくなれば、困るのは“将来”の国民です。


 荒れ果てた農地ばかりの国土とならぬよう、自分もまた農家の一人として奮戦し、一人でも多くの子供を啓蒙していきたいと考えています。

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