見知らぬ推しは、オリコン上位をかっさらう?!~コッソリ、推しの友達目指します!!~
Aさん
見知らぬ推しは、オリコン上位をかっさらう?!~コッソリ、推しの友達目指します!!~
いつも聞こえる澄んだ歌声。
通学途中に聞こえる歌声。
毎日朝、通学路にある空き地の近くから聞こえる。
そこには誰かいるわけでもないのにきこえてくる歌声にはてなマークが浮かぶ。
誰の声?
でもいくら探したって時間が足りなくていつも見つからない。
いつしか妖精なんじゃないかと感じるようになった。
一体どんな人が歌っているのだろう?
いくら探しても見つからない。
現実味がないけれど、アイドルのようで毎日の登校が楽しみになってきた。
いつも妄想する。
カッコいいイケメンなのか、服もイケてるのか。
もしかして有名人がお忍びで練習しているのではないか? なんて考えたこともあった。
ただ妄想は膨らむばかり。
私がその人について知っている事はたった一つ。
『誰もが魅了される歌声の持ち主』
そんな事を頭で考えつつ休み時間を過ごす。
「また明日聞こえるからそれまで我慢我慢……」
あ……。
そんな時にあいつが来た。
いつも遅れて来るくせに先生はいいよ、いいよ、と言うだけである。事情があって言うけどそんなことないくせに。
なんだよ、ほんと。
楽しかった気分が急激にしぼんでいく。
あいつが誰かと話す所を見たことない。
なんか怪しい。
たまにはいつも色々言えない事を言おうじゃないか。
あいつが帰る時になった。
帰りの会が終わるとすぐに教室から出ていくあいつ。
私はいつも一緒に帰る友だちに、今日は一人で帰るねと言っておいた。
校門をそそくさと出ていくが後ろからあいつをつける。
曲がり角を右、十字路を真っ直ぐ。
見知った道のり。
突き当たりのラーメン屋を左……?
なんといつもの帰り道の途中まで一緒。
妄想の中のあの人の顔がちらつく。
そういえばあいつって顔は整っているような気がする。
眼はぱっちりしてるし、身長は少し低いが運動もちゃんとできる。
多分、勘違いだ。
そんなバカな話は、ない。
まぁそんな事より尾行もとい、追跡に集中しないと。
そして入っていったのはいつもの場所。
あれ? アソコって例の空き地だ。
そこに入って、細い山道を進む。
そして古い神社へ。
こんな所あるんだなー。
こんなところを見つけるなんてあいつにしては凄いかもしれない。
というかどんどん登っていくあいつ。
やば。
追いかける? でも見通しのいい階段。見つかってしまうんじゃないかな。
そもそもこの後どうするの?
考えた結果、階段で隠れるんじゃなくて周りのスギの木の裏に隠れる。
これこそ自問自答だ。
あいつにバレたら何が起きるか分からないからな。
何があるか、ね……。
あいつは何やら喉を押さえ調子を整えるような行為をする。
とろっとした蜂蜜を飲んで。
そして、歌を歌い始める。
「君の答えを聞きたいんだ、素敵できれいな歌を♪」
え、マジか……。
音痴の練習かと思ったが、聞こえてきたのはあの妖精のような歌声だった。
ウソだと思った私はもっと前で見ようと、ふらふらと歩きだしてしまう。
そんな時。
私はコケた。
そこにある石でコケてしまった、漫画で描いたかのように。大胆に。
「えっ? ……大丈夫?」
あいつに聞かれたけれど、何も応えないままむくりと起き上がる。態勢を整えすぐに走り出す。
あいつがあの人のわけがない!
私の頭の中はそんな想いでいっぱいだった。
あいつの汗まで綺麗に見える。
「ウソだ、ウソだ、ウソだ〜ッ!!!」
私は走りながら叫ぶ。周りの目も気にせず。
家に帰ってからもずっとあいつの事ばかり。
枕に頭をうずくめ、ベットの上で足をバタバタさせる。
なんでなんだ。
「あー、もうダメ……頭が回らない」
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次の日。
食中毒を起こしました。
普通に食中毒です、うん。
あんな暑い中窓開けないでわーわー騒いだ挙句
賞味期限が1週間も過ぎてるヨーグルトを食べたらそうなるわな。
学校もお休み。
最悪、今日の昼ごはん揚げパンだったのに。
そんな時、ベッドの近くに置いておいたスマホが鳴る。
鬱陶しいと思いつつパスワードをサッと入力する。
もう慣れた手つきだ。
『友達が持って来てくれたよ〜』
お母さんからのメールだった。なんだよと思いつつ下に降りる。
まずまず友達って誰?
そしてそこにあったのはあの揚げパン。
お母さんいわく、男の子が手紙と一緒に持ってきてくれたらしい。
というか男の子ってだれ?
そんな単純な疑問を持ちながら封筒を開ける。
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昨日は本当にすみません。
学校に遅刻したのに、
先生からいいよと言われているのが
嫌だったのでしょうか?
そうなら申し訳ございません。
ご存じかと思いますが、私は歌手です。
なるべくバレないようにしているので
秘密にしていただけると幸いです。
私にできることがあれば言ってください。
すみませんでした。
歌手のことは次のページに記載して
おきますのでもしよかったら見てください。
dttp://www.turugantoko
======
……うん。凄く丁寧。
字も綺麗だし書き方が大人な対応。
まさに神の対応で神対応!!
というか歌手だったんだ。
そしてあいつがどんな歌手分からないからネットサーフィンをする……。
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は?
最近オリコン一位のツルガさんだったの!!
素顔も、年齢まで不明のツルガさん?!
紙袋の仮面がチャームポイントのツルガさん?!
あのショタ系歌手で有名な?!
素顔イケメンっておかしいでしょ。
うん。
「明日、サインもらおう。何が何でも推しを守る」
そう意気込む私のことなんて知らない、あいつもといツルガさん。
いや。
ツルガ様。
私はあなたのファンになりました。
「あぁ、貢ぎたい……」
これは初めて推しができたほんの序章の物語。
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読んでいただきありがとうございます。
面白ければ★★★、面白くなければ★。
♡もつけていただけると幸いです。
見知らぬ推しは、オリコン上位をかっさらう?!~コッソリ、推しの友達目指します!!~ Aさん @mikotonori812
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