第三章「新しい仲間は……神きゅん?」
第三章「新しい仲間は……神きゅん?」第一話
翌日、早速とばかりにその町のギルドへ…キョーウン達は別用で少し離れる事になった。また何かと思っていたが今回はそんな事は無く…それ所か…
「う…」
ユキオは面食らってしまった。ギルドの中には冒険者だろうが「絵に描いた」…いや、もっと的確に言えば「少女漫画か乙女ゲームに出そうな美男美女」ばかりでほぼ全員がその基準で及第点以上だった。
『作品間違えた?』
今までの物語を追いかけて来た人にとってはその光景にこの言葉を禁じ得ないだろう。
とはいえ面食らったとは言っても一瞬でカードの更新を済ますと早速クエストの掲示板へ…そこには…
(…ん?)
黒くて短髪の…でも輝く程綺麗な黒髪の服装的には「魔導士か僧侶か」と思わせる、色合い的にはキョーウンの服に近くより手入れが整っているようで綺麗だった。
だがそれ以上に感じたのはユキオがその存在を見つけた時に感じた違和感の様な既視感の様な感覚だった。
(この感じ…でも見た目も違うし実際出来んしな)
疑問しか浮かばない、だが感じる感覚は間違いなくそうだという。
『今目の前に居るのは「神きゅん」だ』という感覚を。
「どうしたの?」
そんなユキオに気付いてなのかフランが声を掛けて来た。
「…ハクトはどう見える?」
フランに応える前に確認の為にハクトに問いかけてその存在を指した。
「…おかしいですね」
「やろ?…やっぱそう思うよな?」
「だから何?」
ハクトも同じ感覚だったのだが完全に蚊帳の外のフランは少し不機嫌にそう言った。
「神が目の前に居るって言って信じる?」
「神?それってユキオが神きゅんって言ってる子の事?」
「せや。それが目の前に居る、姿は明らかに違うのにや」
「ふーん…」
フランは神きゅんと出会った事は無いし見た事も無い、だがその存在と話はともに旅をしていく中で何回も聞いてそれが嘘では無い事は確認していた。
「でも人の前に出れないんじゃなかったっけ?」
「そうや。それなのにや。姿を変えてなんて話も聞いて無いし」
「……」
疑問ばかりしかない…とりあえずこのままと言うのもあってかユキオは…
「何を探してるんや?」
その存在に声を掛けた。
「ひゃっ!」
いきなりの事なのか飛びそうな程驚いて…ゆっくりと顔をこっちに向けた。
(ん~…やはりか~)
例えるなら…そう
『神きゅんの「白」の印象を「黒」にしてルビーの様な目をサファイアの様にした』
と読者には説明する為に書いたがユキオからすればもっとざっくりとこんな「詩的で少女漫画的で乙女ゲーム的な説明」が浮かぶわけでは無かったがそんな第一印象と共に思った。
『それを除けば瓜二つ』と。
「な…なんですか?」
いきなり見ず知らずの男に声を掛けられて…間違いなく「こんな子供が」と呼ばれそうな容姿の少女?少年?…ん~この際「男の娘」と言う事にしとこうとユキオの中で勝手に納得した。
「クエスト探してるんか?」
「え…うん」
「一人でって事?」
「え?……そうですけど」
「……」
初対面で二、三会話した中では相手はこっちを知ってる訳ではなさそうで、そう言う意味では「神きゅんが変装して」という感じでは無い事は確認出来た。そうならば次に浮かぶのはそんな疑問で…その時だった。
「その子とパーティー組みたいって言うならやめた方が良いよ?」
冒険者の誰かだろうか?不意にそんな声がユキオ達に投げかけられた。
「ん?」
近付いてきたのは剣士…まあこれも「それなりに着飾れ貴族か王子か」と思われそうな容姿の男の剣士だった。
「その子は人間じゃ無いから…それに良い噂も聞かないからね」
「人間じゃ無い?」
そう言われて視線をそっちに向けるとそれが間違い無いのか戸惑いと躊躇いと…怯え?とも思える様子だった。
「一緒に行ったら全滅してこの子だけ生き残るとか?」
「そう言うのは聞かないけど言ったメンバーはクエストに合わない位に疲れて帰ってくるから」
「突然大変な魔物がとかや無く?」
「そう言う話は聞いて無いね、特別大物に遭遇したなんて話も無し。あるのは…『何かを吸い取られた』様な感覚だってさ」
「何か…」
そこまで言われて周りを見てみるとそれが間違いではないのか入って来た時よりも空気が重くなっていたように感じた。この中には経験して大変な目に会った人も居るのかもしれない。
「ん~…」
しかし第一印象がどうしてももたげるユキオは「じゃあ」と即答で離れる事は出来なかった。
「…ハクト…フラン…今日は無しでええ?」
思う所があるのか二人に問いかけるユキオ
「私は構いませんよ?」
「何か考えがあるんでしょ?別に急いで稼がないといけないわけじゃ無いし私も良いわよ?」
「…解った」
そこまで言ってユキオはその子に向かってこう言った。
「ちょっと付き合ってくれんか?確認したい事があるんやけど」
「え?」
「別にどうにかするつもりや無いよ。ギルドに登録はしてるんやろ?」
「それは…はい」
「じゃあ…聖堂言うか教会へ行くか」
「え?」
そこまでユキオが一気に話を進めようとする事に驚きしかないその子にその様子から察してなのか。
「…まさかこの子をパーティーに加えるとか言うんじゃないよな?」
剣士がそう言ってきて、ユキオはそれにこう答える。
「それをはっきりさせる為にちょっとね」と。
続
血志(けっし)馬鹿一代~神の願いに献血する者~ 妄想屋あにこう @mousouya
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