第2話 恋愛相談
ピロロ
スマホが鳴った。料理をする手を止めて、送り主を確かめる。
画面には、藤原光という文字が。
「もしもし?」
普段通話を掛けてくるような人ではないから、なんだか緊張してしまう。
「急にかけてごめん!ちょっと聞きたいことがあって」
電話越しの彼は、なんだか緊張している様子だった。長話になりそうだ。椅子に座り、姿勢を正す。
「どうしたの?」
「ええっと、浅村のことなんだけど」
浅村という苗字を聞いた瞬間、私は察することが出来た。これは恋愛相談の類なのだと。
「誕生日プレゼントを渡そうと思ってるんだけど、何にしようか迷ってて。あいつの好きな物とか知ってる?」
「えっとね」
そこまで言って、少しためらう。だが、言わないという選択肢は、それは、性格が悪いというものだ。
「ネックレスとか好きだったと思うよ、後は……ハンドクリームとか?柑橘系の匂いが好きだから、それとかいいかも!」
「どこで売ってるかな?」
「薬局とか、雑貨屋とか?結構どこでも」
「探してみるわ!あ、それと……」
彼の相談は留まることを知らない。ラブラブじゃんと茶化す気にもなれない。そんなに深く考えてるだなんて、嫌気がさしてくる。
「色々ありがとう!助かった。それじゃあ」
ここで、好きだよと言ってしまったら、彼はどんな反応をするだろう。驚くんだろうな。
「うん、それじゃ」
それを言えない私に嫌気が差す。だから敵わないんだ。
ピロロ
スマホを置いて、ふっとため息。味噌汁の匂いが鼻をくすぐる。少し冷めてしまっているかもしれない。また、温めなければ。
立ち上がり、台所へ。彼の声は途切れ、もう聞こえなかった。
恋してんだ君に Nekome @Nekome202113
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