The seeker
”骸”または”屍”。そう呼ぶに相応しい死体だった。
両指や鼻や耳といった先端部は歪に消え去り、衣類を帯びていない露出部の皮膚や肉が著しく欠損している。加えて、頭から足先までが濡れているのは、強力な殺虫成分を含む忌避性薬剤がタップリと
死体の傍らには、宇宙空間で使用される
「キリが無いねぇ……」
外部スピーカー無しでは会話が成立しない程の気密性・抗弾性を誇る
顔前に配置された
「……でもまぁ、そろそろ始めるとしますか」
直視に耐えない光景の中、飄々とした口調の
「発見日時、西暦2131年4月12日木曜日、
コミカルな低頭身に反して全高2m近い巨躯が
「被害者は骨盤形状から成人女性……損壊激しく年齢推定は困難……」
検死スキル持ちのA.Iからサジェストを受けつつ、時折死体に触れながらの独白は続く。
「
「命中弾は頭部に三発、心臓付近に三発……」
「断定は出来ないが、顔面の減り具合から死亡して1日程度が経過……」
「十中八九、日常的に銃器を扱うプロフェッショナルの犯行。なお、殺意の高さから怨恨の線も否定できない……そんなトコかな?」
そこまで口にして再度立ち上がり、今度は頭上へと大型拳銃が向けられる。
――直後、花火ソックリの破裂音。
空に、数キロ先からでも視認可能な信号弾の煙が漂いだした。
《動甲冑》を纏った人物は、これで用は済んだとばかりに死体から離れ、色褪せたツタウルシやアメリカヅタが絡まる中央分離帯へ。
そのまま人間離れした跳躍力を見せ、見晴らしの良い高所へと着地を果たす。
朽ちた標識が続く南西の方角に広がるのは、黒々とした曇天。
合衆国内戦で気象兵器が多用された結果、行政府が発表する
「参ったな……雨で痕跡が消えちまうぞ。随分と面倒じゃないか……」
気弱な台詞と溜息が漏れるが、
数分後、
これからの調査拠点となる
婬櫃 -the casket あーてぃ @ptgmgm
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