世界はモブ、ライバル、ひっかき回し役、そして……やられ役で溢れている

 本作の主役は「やられ役」です。え? 何言ってんの??

 そう、主人公の鎌瀬(かませ)君、名前でわかる咬ませ犬的な存在を、世界の理として背負わされた悲惨なキャラなのです。
 そんな彼が自身の死亡フラグをへし折る為、他の様々な属性を持つキャラクター達と手を組んで活躍していくお話。

 まぁよくある脇役の大奮闘的なお話ですが、面白いのは世に溢れる物語の様々な脇役やチョイ役、無様役やひっかき回し役などにしっかりとスポットが当てられている事。
 普通の物語では路傍の石の用に使い捨てられている「お約束」キャラ達が、その個性を存分に生かす舞台が与えられている事なんですよね(活躍するとは言ってない)。
 それは主役の鎌瀬君自体が「その立場」にいるからに他なりません。やられ役という立場に居るからこそ、主人公以外の人間の立場を自分と同等に比して、そして関わり合って行ける。そんな世界はある意味の優しさを内包してると言っていいでしょう。

 主人公補正が溢れる世界に飽きた貴方、ちょっとひねくれた(誉め言葉)この学園を覗いてみませんか?