第18話 Endroll

 人間は妄想する生き物である。空想を作って、そこに妄想をする。幼い時ほど、知識が増えるに連れて妄想を加速させる。



 僕のエデンのような存在のことを、イマジナリーフレンドというらしい。通常幼少期に発症、発生すると、だいたい中学生前後で消失するらしい。それはリアルが充実して、友だちができて、それで必要なくなって、それでいなくなるってことだろう。しかし僕の場合はどうだろう。今も友達はいないし、最大の友人はエデンだ。瀬都奈に初恋はしたものの、彼女は未来の人間。その妹も、空想上の敵が消滅し、今回の一件が落ち着き、解決すると未来に帰ってしまった。僕には誰も残っていない。現実にはいない。誰も居ない。




 そう、石像の一件は終わった。石像を操り、それらを使って第三世界から現実世界を侵略しようとしていた地球外知的生命体は、今回も第三世界で僕に敗北して、消失した。それには僕は長い時間が掛かったけど、瀬都奈が来てからは一瞬だった。無双した。帰ってきたときには、今回も何も起きていないかのようで、時も戻ってあの日から半年後の三月だった。何もかも元通りであった。



 しかし、思い出の中には、空想上の世界での思い出は、掛け替えのないものがある。瀬都奈のことは忘れない。僕が認識し続ける。この時代にもいたのだということを、覚えている。忘れない。大切な、大切な僕の世界の出来事だ。



 僕の夏休みはあの日既に終わったし、平成という日々はきっとあと幾ばくも日にちが残っていないのだと思う。だからこれはその後の続きというか、後日談に、後日譚に過ぎないのだろう。



 僕のちょっとした夏の終わりの冒険譚はこうして終わったのだ。少年の時は最期を迎え、僕は少年ではなくなる。この日々のことを胸にしっかり刻んで、それから前を向いて、また一日を過ごしていこうと、そう思ったのであった。

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未確認につき、それは凛として刹那 小鳥遊咲季真【タカナシ・サイマ】 @takanashi_saima

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