第6話

 翌日。いつも通り先生と追いかけっこをして教室に行く。浬は隣の席に座っていた。

「……おはよう」

「おはよう。由良、後で話が……」

「え? 話?」

「昨日のことで」

「……え? 昨日のあれって夢なのでは?」

「さては理解が遅い人だな」

「由良おはー」

「あ、おはよう」

「浬もおは」

「おは。この話はまた放課後」

「おけ」

 いや何がなんだかさっぱりなんですが?


 放課後。

 教室には私と浬以外誰もいない。

「で、朝の続きね」

「は、はい」

「昨日由良が見た通り、俺は黒猫で、人間に化けてここに来てる。理由は、猫社会には代々人間に化けて学校に行くっていう慣習があって、それを未だ守ってんのは俺の家だけだから」

「な、なるほど」

「で、由良にはこのことはみんなに内緒にしていてほしんだ」

「それは……やっぱりバレたらまずいからですか」

「バレたら捕まって実験されちゃう! そんなのいや」

「わかった。内緒ね。内緒」

「いやよかったー。見られたのが由良で。健だったら終わってたわ」

「あいつ一年三大口軽男だもんな」

「だな!」

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魔法の猫は夢を見る 内月雨季 @misaki78

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