夏は散る。恋は咲く。
竜崎彩威
プロローグ
※ショートアニメフィルム「君と私の答えあわせ」原作小説
本編映像:https://youtu.be/n_cl_4PDn5Y
原作:プリズムイズム
著:竜崎彩威
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私は想いを打ち明ける覚悟を決めた。
物心ついた時から仲が良かった幼馴染、こうき。私にとって親友だったこうきくんは、高校に入ってから違って見えた。雰囲気が大人になって、みんなに優しくて、いい奴なのは変わらないのに、少しずつ存在が遠くなっていくようで…。
お互いに学年が上がるにつれて忙しくなっていくのもあって、会う時間は減っていった。
それでも一緒に帰ることは基本続いていたし、度々遊びにも行く。でも、前は当たり前に感じていた時間が当たり前じゃなくなっちゃうのではないかと、そう思えてきた。
私は親友なはずのこうきくんと、親友よりも大切な関係になりたい―。
そう感じた時に、これは恋だと気付いた。
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俺は想いをなかったことにする覚悟を決めた。
物心ついた時から仲が良かった幼馴染、なつき。俺にとって親友だったなつきは、中学に入ってから違って見えた。華奢になっていく姿、元気ハツラツでみんなから信頼される人気の的、いい奴なのは変わらないのに、自分から離れていってしまっているようで…。
一緒に帰ったり、遊んだりすることは変わっていない。その時間がずっと続けばいいのに、と強く想った時、これは恋だと気付いた。でも、今の関係をなつきが居心地よく感じてくれているのなら、それ以上求めることはできないとも思う。
俺となつきの関係はそのうち終わってしまうのだろう―。
なつきとの距離が段々と離れていくのを感じていた俺は、想いを閉ざす一方だった。
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私は中学の時に一緒に行った地元の複合施設でのことを思い出す。
いつもならアクティビティ系の場所に行くはずなのに、その日だけはプラネタリウムを見ようとこうきくんが誘ってくれた。移り変わっていく綺麗な夜空、数個の星で紡がれる星座、それぞれの星座に込められた物語。こうきくんは横でナレーションに補足するように色々と説明してくれた。プラネタリウムをあとにして、こうきくんは私にあるキーホルダーをプレゼントしてくれた。
〝北極星のキーホルダー〟。
「一番好きな星なんだ」と言ったこうきくんは自分用に買ったキーホルダーも見せてくれた。それは、〝北斗七星のキーホルダー〟だった。「お揃いがいいじゃん」と私が言うと、「揃えるのはいやだ」と言った。その時のキーホルダーはお互いに大切に持ち続けている。
思えばあの頃から、こうきは変わっていった。
それは大人になっていく感覚、言い換えれば思いやりをより感じるようになった、言葉にできない心地いい感覚。私はそれを高校に入ってからより一層感じることができたのだと気が付いた。私が想いを伝えるのは、ただの気持ちの告白じゃない。
「いつもありがとう、これからもよろしく」
私はこうきのことが好き。
もっと近くで、もっと仲良く、この先も長い間楽しいことをしていきたい。
もうこの想いは止められないね。
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恋する少女・葉山夏月は花火大会当日。
大好きな幼馴染である和泉広輝の部屋に紙飛行機を投げ込む―。
夏は散る。恋は咲く。 竜崎彩威 @ryu_ayai
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