異彩を放つ、素晴らしすぎる物語

作者は天才か?

思わずそう言いたくなるような魅力が、ここには存在していた。

読めば分かる。
そう言いたい所ではあるが、この素晴らしい物語をその一言で終わらせてしまうのも勿体無い。
語り尽くせぬ思いはあるが、一先ず思ったことを書き連ねてみようと思う。

主人公は成人した女性で、突然やってきた死神を名乗る男に、新人の死神のパートナーになるよう求められる。

ほとんど強制的に結ばれた契約だが、パートナーの死神はとてつもない美少年。
そして何故か、主人公に対して重すぎるほどの感情を抱いているのだ。

この時点で私は既に引き込まれていた。

独特な世界観の始まり。
プロローグとしてのインパクトは十分だ。

彼らの上司は一癖も二癖もある男で、冒頭ではかなりの胡散臭さも感じられる。
謎も多く、読み進める度に見方が変わってくる魅力的なキャラクターだ。

序章はこの三人で進んでいく物語だが、三人のキャラも相まってか、流れるように読み進めてしまった。

しかし本番はここからだ。

作者は一章を「一生」と書いているが、この理由も読み進める度に分かってくる。

一生からはキャラクターも大幅に増え、個性豊かなメンツにワクワクが止まらなくなっていった。

この物語の凄いところはいくつもあるが、特に挙げられる理由として、キャラ各々の魅力が強い部分にあると感じた。

一人一人が際立っており、文章だけでどのキャラクターかすぐに理解できるのだ。

正直、これだけのキャラを上手いこと扱う作者の技量に驚かされた。

しかも彼らはあまりに魅力的。
秀逸な物語と、好きになるしかないキャラクターの数々に、私の心は踊っていた。

今までWeb小説を読むことはままあったが、正直ここまでの作品に出会えるとは……。

私の好みともドンピシャだが、それ以上に、読んだものなら感じる異彩がここには詰まっている。

最近までなろうのみの投稿だったが、カクヨムにも投稿を移したらしい。
私はカクヨムの方が読みやすいため、今後はこちらで読み続けるつもりだ。

とにかく読んでみてほしい。
読めば読むほどに、この物語がどれだけ緻密に練られた作品なのか分かってくると思う。

初めの方に出てきた設定を後々に生かし、伏線の回収も驚くほど巧み。
節々に表れるセンスや、言葉遊びの数々。
特に章のタイトルやキャラクターの名前、こだわりの強い文の遊び心にはあっと驚かされた。

そして何よりも驚きなのは、これほど面白い物語がまだ土台の部分に過ぎないということだ。

もし作者が書き続ければ、いつか突風を巻き起こしそうな予感さえしてくる。
「二招」の最新話近くでは、思わず笑ってしまうほどのレベルだった。

大人でも楽しめる?
いやいや。
これは大人だからこそ、存分に楽しめる物語なのかもしれない。

無論、年齢に関係なく楽しめる者も多いだろう。
あまりの芸の細かさに、そう表現したまでである。

まあ読めば分かるさ。
結局はそこに行き着いてしまうのだが。


最後に、一言だけ作者に伝えたい。


めちゃくちゃ面白かったです!!!!!

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