尊いのです

長根先生の代表作は恐らく「身寄りの無い……」なのだろう
でも私はこの作品が好きすぎるのである。
熊野・桃……そして神社に勤める女の子。
この拘り抜いた設定の辞典で完全にノックアウト。
こういう拘りが先生らしいなと思いつつ……。

文章は硬すぎず軟らかすぎず、カジュアルに読み進められる感じ。
それに長根先生らしい、かわいげの有る(てかありすぎる)女子の
乙女な感じがもうね、白飯5杯はイケる感じです。
先生の描く女の子は、よくある完璧超人超絶美形……ではなくて
等身大の範囲内なんだけど、やだ…かわいい(トゥンク)って
なる様なそういう可愛さを内包していて、それが作品を読む中で
ジワジワボディブローのように読者に効いてくる感じで好きですね。

この作品は安易かつ平易なラブコメとか恋愛話ではなくて
先生お得意の読んでるこっちが恥ずかしいわ!!って感じの
イチャイチャを堪能しつつも、その背景に異能をもつ人間の
思い悩むところがあって、それが寄り作品の深みを増している
そんな印象を受けます。

やはり底辺とはいえ、物書きの端くれたる安濃津水月としては
こう言う柔らかいのに軽くなりすぎず、清廉にして稚拙な
瑞々しい恋情を描き出せる才能は、嫉妬すると同時に敬服します。

完結してしまったことは非常に残念ですが
第二部 鹿島 巫(かしまかんなぎ)編とか
第三部 出雲 禊(いずもみそぎ)編とか
続いていくと信じてます。

※二部三部の主役名は、熊野桃香嬢にちなんで(神社名)+(祓いに関連する言葉)により安濃津水月が勝手に生成したモノであり、主役の名前を確定するものではありません