最終選考通過!
本来であれば、今回の一番望ましいタイトルは「カクヨム甲子園2023〇〇賞受賞!」だった。
だがこのタイトルは「最終選考通過」である。
最終選考はなんとか通過まで漕ぎ着けた。だが、それで終わった。前述した三作品とも、賞を得ることはできなかった。
結果を見たときは悔しさに溺れた。あと一歩だった。最終選考作品に自分の作品と名前が載っている。だけどそれだけだった。賞を得るには値しなかった。
このエッセイを書いている今も、悔しくてたまらない。前のページを書いているときは希望に満ちていた私の心は今日、打ちのめされてしまったから。
何が至らなかったかという感情がとにかく先立った。受賞作品の一覧を眺め、「ああ、この作品は見たことある」とか「この作品は知らなかったな」とかそんなことを一通り確認して、そして自分の名前が受賞作品ではなく最終選考通過作品のところに並んでいるのをみてなんともいえない感情が渦巻いた。
だけどここで悔しいと叫んで、何が変わるだろう。私はただ嘆くだけで今回のカクヨム甲子園を終わりにしたくはない。
ついに私の全てが残酷なふるいにかけられてしまったわけだが、実は今、思いのほかすっきりとした感情を持っている。吹っ切れたとでもいうのだろうか。
私はX(旧Twitter)でカクヨム甲子園参加者も含めた同年代の作家さんたちと交流を持っているのだが、その中にも受賞された方がたくさんいた。普段から仲良くさせていただいている方達だ。
その方達とのやり取りで、私は今回の結果をかなり前向きに捉えることができた。もちろん悔しい気持ちが消え去ったわけではない。今でも何をどうすれば受賞できたのかと考えないわけでもない。
だけど、これからどうするのか。今回の結果をこれからの創作活動にどのように活かすのか。それを深く考えるきっかけとなったのが彼らとのやり取りだった。
その内容をここに記すことは憚られるので割愛するが、彼らの言葉には本当に救われた。
それだけではない。夏からずっと私の活動を応援してくださった読者の方々、作家仲間の方々、Xで知り合った方々。
たくさんの人からもらう「お疲れ様。最終選考通過おめでとう」が、目頭が熱くなるほど嬉しかった。
もちろんそれと同時に情けなくも思った。あれだけ受賞を期待していただいて、応援もたくさんいただいて、それなのに私が返すことができたのは最終選考を通過したという結果だけだ。不甲斐なくてたまらない。
だがそんな感情を抱くのは傲慢で幼稚と言えよう。
最終選考に残った。この事実は消えない。あの二千作品の中で、最終選考に残ったのだ。それを誇らずして、それを認めずして、私はこれから成長していけるはずがない。
この悔しさが消えることはこれからもないだろう。だけど今の私にとって悔しさは果てしない原動力である。
だから今このエッセイを書いていたりもする。悔しさを忘れることがないように。
高校生の分際でかなり気取った文章を書いていることは自覚しているが、これが今の私の素直な気持ちだ。これから一生向き合っていく。
甲子園で思うような結果を残すことはできなかったが、参加したおかげで築けた同年代作家さんとの交流、そして与えられた刺激は本当に貴重なものだと思っている。
最後まで堅苦しい文章になるが、今年のカクヨム甲子園、参加することができて本当によかった。
参加してくれた高校生作家のみんな、応援してくれた読者様方、Xの作家仲間の方々、相談に乗ってくれた学校の友達、そして主催者であるカクヨム様、選考委員を務めていただいた暁佳奈先生。カクヨム甲子園に関わった全ての方々にこの場を借りてお礼を言いたい。
カクヨム甲子園は私にとってかけがえのない思い出である。来年度も続いていくであろうこのコンテスト、参加資格を持つ高校生の皆さんを心から応援している。
春野カスミでした。ありがとうございました。
夏を燃やした 夜海ルネ @yoru_hoshizaki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます