マジカル☆ラビリンス 

 チカの説明によると。

 物語の舞台となる、架空の都市─ユークロニアは。

「外国の郊外にある・・・静かで、平和な街だ」

(確かに、寝静まっている感じがするな)


 しかし、トリックスターと呼ばれる、幻影が現れたことにより。住民に混乱を招いてしまう。

「姿鏡のように、本人と瓜ふたつで。勝手放題するんだ」

(ドッペルゲンガーみたいな敵の存在、か)


 そこで、ダイナーのお店で働いていた主人公が登場する。彼女が、街の噂を耳にしたところ。

「フタバちゃんの持ってた。ミスティックジェムっていうアクセサリーが光って・・・問題に立ち向かう"力"を得たんだ」

(それが。あの、おもちゃのステッキってことか)

 ちなみに、変身後は「ファンタジア」と名乗り。赤と白を基調とした、ウェイトレス姿になるのだが。


 そんなこんなで、チカの熱弁は割愛し。

 物語の結末は、どうなるのかというと。

「トリックスターを浄化したら。本人に吸収される」

「・・・本性が姿形になって、暴れていたってことか?」

「まぁ。自身のつよい願望とか肯定感が、ひとりでに生成されることもあるが。どちからといえば、人に対しての印象とか、先入観とか。誰かへ向けた感情が寄せ集まる方が多い。思念が募りやすいというか・・・だから、人の中に潜んでいる場合もある」

「じゃあ。ワルモノのだけに非があるとは言えないって話か?」

「そうなるな」

(子ども向け番組って、そんなに奥が深かったのな・・・)

「あれ?鳥・・・幻影が本人に帰ったらどうなるの」

「ファンタジアは、街で起きた出来事に介入するだけだ。魔法で、感情を叶えることはできても。その後は本人の意志で、課題を乗り越えなければ解決にはならない」

「・・・そこは現実的なんだね」

「だな。未来への案内人って、謳っているからな」


 マジ☆ラビの世界に居る、という信憑性は高まった。

 しかし、物語の内容になぞらえると。

(チカが、幻影とやらと闘う!?)

 もし、この事実を伝えたら。勇敢な彼のことだ。

 俺にできることなら"力"になりたいって思うだろう。

(勝ったら、元の世界に戻れる?負け、たらチカは・・・)

 話を聞いた限りでは、心理戦なのだろうか。

 具現化した感情が襲いかかる、といわれても。

 喜び、信頼、恐れ、驚き、悲しみ、嫌悪、怒り、期待。

 何気ない生活でも、どれほど影響を受けているだろうか。

 チカは、思慮深い人であっても、カウンセラーではない。

(一体、どうすれば・・・)


「一稀。話・・・聞いてくれて、ありがとうな」

 こちらに、穏やかな表情を向けた。

 不意に、縋り付きたいような気持ちが溢れそうになって。

「チカ、実は」

『何、してるの?』

 オレの言葉を遮るように。

 ブランコの柵の向こうに。あの男の子が見ている。

『一緒に遊ぼう』

 スッと、隣のチカが立ち上がった。

「お兄さんも、まーぜて」

 すかさず、強い眼差しを投げかけた。

 チカを、ひとりにはさせない。

『いいよ』

 オレのことは、眼中にもないようだ。

「じゃあ。シーソー、行こうか」

 チカは、皆で遊べる遊具を考えてくれたらしい。


 そんな風に、面倒みが良いから。

 男の子に、懐かれている様子を見て。もう打ち解けられるなんて、凄いなと思っていた。

 しかし。裏を返せば、トイレの個室に誘った元凶なのだ。最初から、チカのことを狙っていたのだろう。

 この、ユークロニアの世界に。唯一、存在している。

 この子こそが「幻影」なのだろう。




 ◆◆◆noteの公開分(コピペ)はここまでとなります🙇

 これから修正しながら、続きを更新できたらと思いますので

 気が向いたときに覗いてもらえたら嬉しいです^^

(23年9月現在)

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いつかのチカイと、またあう日まで きい @1mmeets

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