第58話 三千年後の予言

 マガタマ姫一行が地の国を後にすると、エンマタイは不敵な笑みを浮かべ、こう叫びました。

「この二つの玉が手に入ったからには、三千年後には地上も黄泉の国も俺の支配下にしてみせる!三千年間、この赤い玉と黄色い玉を育て上げ、オニキとオニアの復活を待つのだ!」と。

 その笑い声は洞窟に響き渡りました。


 それから三千年後、地の民と地上の民との壮絶な戦いが始まります。

 この時代のトキタマ姫は、未来に起こる戦いを予知していましたが、どちらが勝利するかは五分五分の確率だと考えていました。

 それでもトキタマ姫は地上の民の力を信じ、彼らが勝利することを願っていました。


 マガタマ姫一行が地の国の洞窟を出ると、そこは最初に入った黄泉の滝の近くでした。

 地の国のような息苦しさはなく、心地よい空気が流れていました。

 そして、そこに待ち受けていたのは、アノヨノクニノミコトでした。

「よく戻ってきました!エンマタイに三千年間は黄泉の国や地上に現れないことを誓わせたのですね?さすが、天照大御神様の使い人だけのことはあります。私も約束を守りましょう。コノハナサクヤヒメとイワナガヒメ、そしてあなたたち全員を元の場所に返します。」


 アノヨノクニノミコトはそう言うと、一行を連れて三途の川を後にし、元の場所へと向かいました。

 アノヨノクニノミコトはマガタマ姫一行を白い霧の中のトンネルへと導き、進んでいきました。

 しばらくすると、澄み切った空気を感じ、地上の景色が見え始めました。

 やがて霧が晴れ、トンネルも消え、アノヨノクニノミコトの姿もなくなっていました。

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勾玉 星月夜 @ayuob

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