肉体を手に入れた死神ちゃんは朝ごはんを作り少女と会う

 現世に戻ると冥土で決めた通りの肉体を持っていた。鏡を見ればきちんとうつっている。もちろん可愛い。

 少女はクッションの上で寝ている。このままだと冷えそうだ。私は毛布を探してきて少女にかけた。

 とたんに胸が暖かくなる。やっと少女の為に動けた。その喜びで暖かくなった。これからはこうやって少女のためになれるのだ。本当に幸せだ。

 今は朝10時。少女が起きるのはだいたい13時ごろなのでもう少し時間がある。

 この家には血を飲むためのグラスと割りばし、そして紙皿くらいしか食器がない。さすがに足りないので買い物に行くことにした。

 ついでに朝ごはんの食材でも買いに行こうか。私は少女を起こさないよう静かに家を出た。


 近くの商店までは自転車を走らせても2時間かかる。駅までなら1時間くらいだが市街地に出るまでを含めると2~3時間ほどかかってしまう。

 だが私は死神だ。冥土への移動でも耐えれる丈夫な肉体をもっている。遠くの市街地にあるモールへも10分ほどで行ける。

 私は軽く走って少し遠くにある大きめのモールまで行った。冷房がきいていて涼しい。

 私がはじめに向かったのは100均。可愛い食器がいっぱい並んでいる。欲しいのはお皿やお箸などの食器を二人分。

 さらにまな板やさいばしなどの調理器具も買い足す。包丁だけはあるものを使う。

 古い食器が一人分しかないのなら買い足すよりいっそのこと全部新調してしまおうと思ったのだ。色は少女が白、私が黒で統一した。

 今度はスーパーによって足りない調味料や三日分くらいの食材を買う。

 最後に向かったのは家電量販店。いろいろ壊れていたのでこれも買い足す。

 かなりの大荷物になるが、もてないことはない。店員さんに心配されつつ私は家へ帰った。


 そして現在、時刻は11時半。少女の昼ご飯を作ろうと思う。

 作るのは親子丼とスムージー。

 とりあえずご飯を炊く。さきほど買ってきた炊飯器を開けて説明書通りに動かしお米を炊く。

 今冷蔵庫には腕が1本と足が4本ある。とりあえず足一本をとりだし洗って肉を骨からそぎとる。そして皮をはぎ、いい感じに切る。そして

 フライパンに油をしいて鶏肉に火を通す。とき卵と血を1:1で混ぜたものを回し入れて軽く煮る。いい感じに火が通ったら火を止めておいておく。

 スムージ―も作る。ミキサーの中にバナナを半分とイチゴを2つと残りを埋める量の血をそそぎかき混ぜる。真っ赤なスムージーを白と黒の半透明なグラスにそそぐ。とっても美味しそうな香りがする。

 グラスをお盆にのせてから、どんぶりにご飯をよそう。そして血を注いでかき混ぜる。ケチャップご飯みたいになった。

 そこにだいだい色の具をのせ、おい血液をする。ようやく真っ赤になった。見た目と香りは完璧だ。

 お箸で自分の分を一口食べてみる。まずはとろとろの卵がやわらかな甘みをつれてくる。そして後から血のねっとりと絡みつくような甘さとほのかな酸っぱさがやってくる。もも肉もやわらかく血の味を良く吸っている。おいしくできた。

 スムージーの方はどうだろうか。一口飲むとまろやかな血の味がする。バナナが良い感じにやわらかくしている。さらにイチゴによって甘さも酸っぱさもアップしていておいしい。

 なかなかいい朝ごはんができた。私は料理をテーブルに運び、ラップをする。少女が起きるまでもう少し時間がありそうなのでクッションの上で座ってまっていることにした。


 どれくらい経ったのだろうか。少しうとうとしてしまったようだ。目を開けると目の前に少女がいた。

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死神ちゃんには恋人が必要です 橘スミレ @tatibanasumile

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