コント:ラスボス

やってほしい芸人さんのイメージ:チョコ●ラ


場面、ラスボスの部屋。強そうなラスボスと対峙する勇者。


ラスボス「ふわっ、はっ、はっ、は。よくぞここまで辿り着いた。まずはほめておこう」

勇者「お前の好きなようにはさせん、覚悟しろ」

ラスボス「そんな剣で何をしようというのだ、お前の攻撃など無効であることくらい知っているだろう」

勇者「確かにお前の体は世の中のどんな鋭い剣も跳ね返す、鋼の体だ。だがこれを見ろ」


勇者胸からハンドボールサイズの玉を出す。


ラスボス「それは……」

勇者「これを使えばお前の魔力が無効化される。そうすれば……」

ラスボス「はっはっはっはっは……」

勇者「何がおかしい」

ラスボス「そんなことも知らないと思ったか。私はそのためにこれを用意した」


同じサイズの黒い玉を取り出す


ラスボス「これがあればその光の玉の効果を吸収できる。つまり、お前は何も攻撃できない」

勇者「なに? くそ、こうなったら……」


勇者ラスボスの上をチラチラ見る。


ラスボス「こうなったら、か。ふん、お前の考えていることくらいお見通しだ」

勇者「なんだと?」

ラスボス「私の頭の上にある鉄球。あれが狙いだろう、あれを落として、私にダメージを与えようとしているのだな」

勇者「くっ!」

ラスボス「確かにあれが落ちてきたら私とてひとたまりもない。なぜならあの鉄球はただの鉄球ではない、私の魔力の源が込められているからな!」

勇者「ぐぐ、そこまで気づかれているとは。ただ魔力が込められていることまでは知らなかったが」

ラスボス「さすがここまで辿り着いた勇者と言える。目の付け所だけは褒めてやろう。だがお前の考えなどお見通しだ、だからこうしてやる」

ラスボスが手を挙げると、上から鉄球が落ちてくる。それを横にひょいと逃げる。

鉄球が少し足先に当たる。

ラスボス「いてっ!」

勇者「おい、今少し当たらなかったか?」


ラスボス「ふっふっふっふ、こんなの大したダメージにはならん。もし私の頭に落ちていたら、それなりに致命傷だったがな。残念だったな」

勇者「くそ、どうすればいいんだ、あいつを倒すには……」

ラスボス「はっはっはっは」

勇者「何がおかしい」

ラスボス「お前も白々しいな、お前の作戦などお見通しだ」

勇者「なんだと?」


ラスボスが、手をかざすと、勇者の後ろにいた影の忍者のような人が、うわぁ、と言いながら倒れる。


ラスボス「そうやって打つ手がないようなふりをして油断させるとは。危うく不意をつかれるところだったぞ」

勇者、倒れる忍者をみて驚く。

勇者「くそ、仲間がいてくれたのか、知らんかったけど。そんなところまで気づくとは、なんて手強いんだ」

ラスボス「はっはっはっは」

勇者「今度はなんだ!」

ラスボス「お前は賢い。私の家臣になれば幹部として取り立ててやりたいところだ」

勇者「そんなことあるわけないだろう」

ラスボス「お前の考えていることくらいわかる。全知全能の私の唯一の弱点、それはこの心臓部が光った時に、前と後ろから同時に攻撃をすること。それくらいはお前も知っているだろう」

勇者「……え、そうなのか」

ラスボス「演技など不要。だがな、それについて私が対策をしていないとでも思ったか!」

勇者「なに?」

ラスボス「この同時攻撃をできるのは、世界で一つしかない武器、よいちの弓のみ! それは一年前に私がとある場所に隠した。つまり、私の弱点はほぼなくなったも同然!」

勇者、袋をさぐる

ラスボス「お前、何やっている」

勇者「それってまさかこれか?」


勇者弓を取り出す


ラスボス「まさか! なぜよいちの弓がここに?」

勇者「村人がいらないからあげるって言ってたやつだ。捨てそびれて持っていた」

ラスボス「くそ、どこまでも憎たらしいやつめ。もうこざかしい話は終わりだ。正々堂々戦おうじゃないか」

勇者「望むところだ!」


ラスボスと勇者がかまえながら向かい合う。


ラスボス「どうした? こないのか?」

勇者「……」


ラスボス少しして、脱力。


ラスボス「ふん、わかった。私の負けだ」

勇者「なに?」

ラスボス「さすが勇者と言われるだけあるな、そこまで見抜かれてしまっては私ももう打つてはない」

勇者「なんだ、なんのことだよ?」

ラスボス「はははは、最後まで私を嘲笑うのか、全てを知っているくせに」

勇者「は? だからなんだって、本当にわからないんだけど」

ラスボス「足元を見ろ。もしお前が少しでも動けば、ここに張り巡らされた魔法の糸が一瞬でお前の全身に絡みつき、お前は即座に死亡していた。だがお前はそれを知って、敢えて動かないでいた」


勇者あたりをみて驚く


勇者「そうなの?」

ラスボス、ふんと笑う

ラスボス「お前さえなければ世界征服できたのに。くそ、こうなったら最後の手段だ」


ラスボス台にあがり、ブザー音とともに明かりがチカチカする。

大きなスイッチが現れる。


勇者「なんだ? そのスイッチは」

ラスボス「お前に倒されるくらいなら、私はみずから死をえらぶ。自爆スイッチだ」

勇者「なに? それってこの建物全部が爆破されるから、急いで逃げないといけないやつか?」

ラスボス「いや、そこまではない。私が死ぬだけだ」

勇者「なんだと? ふざけるな!」

勇者がラスボスに詰め寄る。

ラスボス「な、なんだ」

勇者「俺はまだ何もしてないんだぞ? それを勝手に死なれたら倒したことにならないじゃないか」

ラスボス「ふっふっふっふ、お前の好きなようにはさせん。これが最後のわがままだ」

勇者「ダメだ、そのスイッチは押すな、死ぬな、俺に倒させてくれ」

ラスボス「ダメだ、そんなことを私がさせるとおもうか? どうせお前はこの部屋のうらに隠してある魔法陣から一気に外に逃げるつもりだろう、私にはわかっている」

勇者とラスボス取っ組み合いになる。

勇者「だ、か、ら……スイッチはおさせない……」


はずみで勇者がスイッチを押してしまう。

勇者「あ!」

どーん、という音と共にラスボスが、苦しみ始め、うっと言って倒れる。


ナレーター「ラスボスを倒しました」


勇者呆然と立ち尽くす。


勇者「とりあえず魔法陣のとこ行くか」


歩き出す


(おわり)

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漫才、コントのネタはどのジャンルに入りますか? 木沢 真流 @k1sh

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