全134話完結です。
本作ヒロインは東大経済各部卒の優秀な女性ながら、就職希望が何と女子プロレスラーという変わり者です。
プロテストを受けたものの不合格に。そんな彼女の学力を見込んで別のオファーが提示されます。
本作は紛うことなきスポコンドラマでありながら、側面はかなり高度に練り上げられた企業経営物語です。
それもそのはず、作者様は企業のM&Aを手がけるプロマネで、高度な専門知識を有しているのですね。
それらをいかんなく駆使した本作は見どころ満載です。
女子プロレスの魅力はもちろん、企業経営のいろはが学べるという、何とも一石二鳥的な贅沢な構成になっています。
昨今、この手の作品は間口の狭すぎるカクヨムではお目にかかれません。
こういった作品に果敢にチャンレンジする作者様には脱帽するばかりです。
もちろん間口を広めにして、多くの人が手に取りやすい工夫もされています。
ヒロイン含めた魅力的な登場人物、男女がいれば恋愛話にも発展していきます。さらには女子プロレスの面白さを伝える描写力、素人でもわかる企業経営話などなどです。
全く小難しい話は出てきません。誰が読んでもわかる内容になっています。
一話当たりが1000文字に満たないライトな読みやすさで、一度読み出すと止まらなくなります。それほど面白いのです。
是非ともこの機会に手に取ってみてください。
この話を読むまで、僕は女子プロレスもM&Aも全くの素人だった。
女子プロレスはアジャコングしか知らないし、M&Aはおじいちゃん家の“釣りバカ日誌54巻”で読んだだけ。
正直男がやるプロレスに、女子プロレスは勝てないと思っていた。
アジャコングは、蝶野やスタン・ハンセンに勝てない。
僕はそう信じていた。
しかし、この物語を読んだことで、僕の意識は変わった。
YouTubeで“#あけましてスターダム2023”を観るようになり、ブシロードの第1四半期決算説明資料を読んだことで語尾がM&Aになった。
それは何故か?
主人公のミナミちゃんが己の愛する女子プロレスの為に、事業改革とレスラー候補生の二足のわらじを履きながら情熱を燃やしていたからである。
そして、自分の知識と愛を注ぎ込み、女子プロレスと事業改革のM&Aを試みた“どまんだかっぷ”という作者がいたからである。
ここまでの熱量を浴びたのだ。
だから、あえて言おう。
さあ、どまんだかっぷよ‼ 僕たちにお前のプロレス愛を見せてM&A‼
21話まで読んだ時点でのレビューになります
経済小説です。そうです、1話をみるとプロレス小説ぽく見えますが経済小説なんですよ、これ。
というか、経済小説って書くのが難しくて、そればかり書くとエンタメ性が薄れるので、エンタメ性を付与しようとすると経済ともう一つの柱を作って書くのがセオリーになるんですが、これもそんな作品になります。
で、ありがちなのが、もう一つの柱は恋愛になるんですが、これはプロレスです。というか、作者のプロレス愛が溢れている小説でして、プロレスビジネスの一端が垣間みえちゃいます。しかし、そこに書いてある経営方針、原価低減等の内容は、そこらへんのちゃらいビジネス本がひれ伏すくらいでして、要点がしっかりおさえられていますので、この小説を初めて読んだビジネスマンはびっくりするんじゃないかな? と思うレベルではあります。
ただ、筆者の専門はM&Aです。ここから、その分野が広がっていくんですが、というか、これ、普通にビジネス本としても成立するんじゃないの? と個人的には思っています。