使い道があったな






 きゃー。

 姿を見せた姪に向かって、姉は大きく手を振り歓声を浴びせた。

 換気扇のファンを頭に斜めに乗せた姪は、片手におもちゃのミキサーを持ち、もう片手でゆっくり手を振って姉の歓声に応えた。


 きゃーきゃー。

 早く近くに来てと言わんばかりに姉の歓声は大きくなるも、焦らすように姪はゆっくりゆっくりかね折れ階段を降りて来て姉の眼前に立つと、ファンサービスですと言い、いつの間にかおもちゃのミキサーで作っていたジュースを姉と、遠くで見物していた私と父にもくれた。


 使い道があったな。

 父は嬉しそうに言ってジュースを飲んだ。






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魔法の言葉 藤泉都理 @fujitori

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