08 町で2人を見た女たち




「ねぇ見た?」


「なにを??」


「ダークエルフの坊やのことよ。」


「あ! 見た見た! ほんと可愛いわよね!」


「ね! あれで凄腕の冒険者らしいのよ!」


「そうなの? あんな可愛いのに冒険者なんてギャップがすごいわ!」


「前にギルドにいるところを見たんだけど、絡んだ冒険者を軽く吹き飛ばしたの!

 もうかっこよくて惚れるわよ!」


「うそ! あんな可愛いのに強いなんて… かっこ可愛いって実在したのね!」


「あんたたち知らないの?」


「え? なにを?」


「あの坊やには連れがいるわよ。」


「そうなの? どんなひと?」


「すっごい美人のエルフよ! 女の私が見てもちょっと感動するくらい美人なの。」


「うっそ! でもあの坊やほどかっこ可愛ければそんなのと一緒にいてもおかしくないか…」


「そうねぇ、でもあの坊やほんと可愛い… お持ち帰りしたい…」


「わかるわ… 弟にしてもいいし、なんなら息子でもいいわよ…」


「あら、あんた倒錯してるわね。 でもその気持ちだけはわかるわ。」


「あんたたち… あの子どう見ても10か12くらいじゃない?

 そんな子に手を出しちゃダメよ?」


「それがそうでもないの。」


「どういうこと?」


「あの子14か15かそれくらいなんですって!」


「そうなの!? 14ならもう成人じゃない!」


「そうよ! 食べてもいいってことよね!」


「ちょっとあんたたち! 気を付けなさいよ?」


「なにがよ?」


「あの子の連れのエルフはやばいわ…」


「なにかあったの?」


「あれ… ただのエルフじゃないわ…」


「どういうことよ?」


「普通のエルフって金髪なのは知ってるわよね?」


「えぇ、それは知ってるわ。」


「じゃあ、あのエルフの髪は見た?」


「たしか銀髪…」


「そう、銀髪のエルフはハイエルフって言われて普通のエルフよりずっと強いんですって。」


「そうなの? でもそれがなにか問題ある?」


「私があの坊やを見てたらすんごい顔で睨んできたわ…」


「え…… あの美人エルフに睨まれるって怖いわね…」


「そうなのよ… 別のものに目覚めそうになったわ…」


「うわ… ちょっと離れてもらっていいですか…?」


「すみません、私とは他人ですよね?」


「ちょっ! そんなことはいいのよ!

 あの坊やに深入りするとあのハイエルフを敵にするからやめときなってことよ!」


「あぁ… たしかに…」


「さっき宿屋で2人部屋を取ってたわよ?」


「うそ… それって…」


「あの坊やの純潔が! 貞操の危機よ!!」


「あんたたち… どっちが危険人物なんだか…」


「おい! あんたらあの2人のことを邪魔すんじゃないよ!」


「そうよ! あの2人はあの2人だからいいのよ!」


「「「え??」」」


「わかってないわね、おねショタって素敵じゃない!」


「そうよ! おねショタはてぇてぇのよ!」


「「「おねショタ!?!?」」」

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エルフと俺 出水でみ @d3d3

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