終わりから始まる物語

【あらすじ】

『俺』の人生は、ある時からずっと時を止めていた。

そんな『俺』は、親から継いだ不動産会社を経営しながら、平々凡々と生きている人間だ。毎日がつまらないと思いながら、しかしあえて変えようともせずにのんべんだらりと暮らしていた。そんな『俺』に事務員の女の子が、自作の小説を手渡したところから物語が始まる。

その小説には、『俺』の時が止まった事件。

車の事故で家族を一瞬で失い意気消沈としているときにぼんやりと誓った、もしこの言葉が自分の人生で言われることがあるならば、そこからちゃんと前を向いて行こうと決めていた、まさにその一文が書かれていたのである。

『俺』が、喫茶店を経営する幼馴染の友人に相談を持ち掛けていたところ、『俺』と自分の作品の批評を心配した事務員の女の子が様子を見に…続きを読む