もうよしましょう

釣ール

だれと限る?

 文章に甲乙ってあるのだろうか?

 小説家はいても文ソムリエは聞いたことがない。

 軽視されているなあ。

 時代が経つにつれて聖書や古典文学を娯楽ではなくマウントを取るための武器に利用されているのが一番許せないことだった。


 やはり文じゃその程度か。

 そもそも簡単に強要を得られるのならもっとアニメ化や漫画化、映画化か実写化に舞台化…もっとあるのかもしれない。

 そういう状況に様々な文章が昇華される可能性はあるはずだ。


 そんなジャッジも過ぎた話だ。

 コンテンツとして生きているか死んでいるのかを嗅ぎ分けられる才能がある人間がいるのだろう。


「えっちらほっちらさ、カモメの鳴き声聞きつつ…」


 昔聞いたゲームの音楽を本能的に鼻歌として発してしまう。


「鼻歌なんて久しぶりじゃないか。

 胡散臭い話でも考えてるの?」


 同じ爬虫類人間、ミシェリがお茶を用意してくれた。

 鼻歌の元ネタは全部理解があるのか。

 相変わらず恐ろしいやつだ。



「昔インターネットが流行っていた頃の文章を知る機会があってな。

 人間の文化は浮き沈みが激しくて退屈しない。

 歴史というのは、それだけで客観的に見入ってしまうもの。

 少しはこんな生活から離れたいものだ。」


 少しずつ人間社会に溶け飲まされる誘導だけは進歩しない人間にもはや乾いた笑いが止まらない。

 見下しているつもりはないがいけ好かないのかもしれない。


「よそうか。

 お茶を楽しむ余裕がなくなったら元もこもないし。」


 相変わらず気がきく人だ。

 いや、同じ爬虫類人間だから表現が間違っているかもしれない。


 やはりある程度似てないタイプと共に楽しむティータイムは格別だ。

 似た者同士ではなく、似た種族同士だから。


 人間の研究しないジャンルを独自で探すのは本当に有意義だ。

 この生活を他の爬虫類に教えたいぐらい。


 進化も共存も淘汰もする必要なく我々もそんな歴史を迎えてしまうかもしれない。

 この世は地獄だからな。

 せめて自分達だけは俯瞰して生きていこう。


 今日に乾杯。

 明日も変わらず過ごすだけだ。

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