[真実]

まずは、ここまで読んで下さりありがとうございます。


冒頭でも説明した通り、ここからは物語の[真実]をお伝えします。


物語をハッピーエンドで終わらせたいという方はここまで、まだまだ物足りないという方にはぜひ最後まで読んで頂きたいです。



[真実]


「明日の朝七時三十分、学校の最寄駅の前で待ってるから」

これは、「私」──大西さんが告白した後の、池山君の台詞です。

何気ない一言ですが、よく読み返してみてください。


七時三十分。池山君はそう言っています。

大西さんから告白されたことがきっかけで、翌日の二月十五日、彼は「七時三十分」よりも早く家を出るはずです。


──しかし。

池山君がトラックに跳ねられた時刻は何時だったでしょうか。 


…そう、「七時五十分」です。


約束の七時三十分までに駅に着くように家を出た彼が、七時五十分のトラックに跳ねられるわけがありません。

つまり、大西さんが電話をした翌日、彼は事故を回避してしまうことになるのです。


「明日の朝七時三十分、学校の最寄駅の前で待ってるから」

と言われた際、大西さんは

(でも、その前に池山君は…。)

と心の内で思っています。

きっと、彼が何時に事故にあったのかまでは知らなかったのでしょう。


大西さんは「告白」という行動を通して、知らず知らずのうちに電話相手の運命を変えてしまっていた。


…電話をした翌日に彼女がどうなってしまうのかは、もうお分かりですよね。



そして、もう一つ。

タイムスリップサービスセンターと会話している間、大西さんは何度か電話のボタンを押していましたね。


そこで最後に「タイムスリップサービスセンターを利用しますか?」と聞かれたとき、彼女が押したのは何の数字だったか、あなたは覚えていますか?



…さて。

この[真実]を知ってもなお、あなたは過去と今をつなぐ夢の電話を利用したいと思うでしょうか──。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

この電話は、時空を超えて シダレヤナギ @kametann

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ