種明かし
* * *
「43」を表示していた計測器が、ぴぴ、と鳴いたのなら「78」を表示する。
更にぴぴ、と鳴いたのなら「95」を表示し、果てに「100」を表示してぴーっ、とけたたましく音を鳴り響かせる。
「やっぱり、これが一番いいみたいですね」
無事に百点満点を叩き出し、もう生き返らせる必要がなくなったK氏の死体の傍らで、職員は額の汗をぬぐう。同時に、部屋に彼の上司がやって来た。
「成功したようだね、やはり『百点満点の死を叩き出して死ぬ死に方』が、一番人間に効くようだ」
「けれど、いつもひやひやしますよ、もしこれがうまくいかなかったのなら、申し訳ないじゃないですか」
上司に続いて、死体を運び出すスタッフ数人が入って来た。彼らはK氏が間違いなく百点満点の『幸福な死』を得て死んだことを記録したのなら、その死体に布をかけて運び出す。
「おや! どなたかが百点満点の死を得られたらしい」
「どのような死に方をしたのだろう、私も早くああなりたいなぁ」
部屋の外から、他の挑戦者達の声が聞こえる。そんな中、上司は職員にそっと囁いた。
「決して、彼らに真相を告げてはいけないよ。知ってしまったら、効果は出ないからね」
「わかっていますよ。それに、変なことしてクビになんてなりたくありませんよ、ここで大金を稼いで無条件で死を選べるくらいの大金持ちにならなくちゃ、仕組みを知ってる私達は、一生死ぬことができないじゃないですか!」
【終】
K氏の百点満点の死 ひゐ(宵々屋) @yoiyoiya
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