後編
地球さんの周りを歩きながら、太陽さんから借りた光を、夜空からお届けする。それがわたくし、月の役目です。何十億年も前から、ずっと。わたくしは地球を覆う全ての空を、可能な限り満遍なく照らします。地上の方々にとっては、明るいとは決して呼べない、微かな光を。
真夜中から、暗闇が消えることはありません。暗闇は誰かの視界を奪います。借り物の光では、誰かを照らすのは難しいのです。
しかし、街灯さんは違います。街灯さんの光は、地上に暮らす方々を照らす光です。真夜中から、暗闇を消す光です。時間を灯す、素晴らしい光なのです。わたくしには、そんな光が出せません。わたくしが照らせるのは、夜空だけ。
彼女の周りに住む方々にとって彼女は、わたくしの光が霞むぐらい明るいのです。羨ましい限りですよ。本当に。
月と街灯 ソブリテン @arcenciel169
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます