第3話 心因性の病気だからってあわてすぎ♥ メンタルもよわよわなんだから♥

//SE キーボードの打鍵音

// パソコンで病気について調査中

// 主人公の背中に、ぴとりと張りついて画面を覗く


「心因性メスガキ退行病?」


「ふ~ん、それがあやのの病気っぽいの?」


//SE 椅子を引く音

// 主人公に向き合う


「一万人に一人の女性に発症する、レアな精神病」


「主な症例は――言動がメスガキになるだけなんだ?」



「あいま~い♥ ガバガバな診断基準♥」// 煽り


「医療体制が♥ 心配になっちゃう♥」


「いくらでも自作自演できる♥」


「本当にぃ~♥ それってお病気なのぉ~♥」



//SE ぼそぼそとしゃべる音



「『自作自演ならその方が怖い』って?」// キョトンとした感じ



「たしかにぃ~♥」// 楽しそう


「心の闇が深すぎる~♥ 病気の方がまだ安心~♥」



//SE ぼそぼそとしゃべる音



「へぇ~、簡易診断とかあるんだ~♪」


「なになに~?」



「『チェック その1 一人称が名前になる』……だって♪」// 笑い



「ウケるね♪ そんなのなったらすぐに分かるじゃん♪」


「いい歳して、一人称が名前だなんて♪」


「地雷系女子じゃないんだから♪」



「あやのは一人称があやのだから♥ 違うお病気だね♥」



//SE ぼそぼそとしゃべる音



「……え?」// 真面目なトーン


「一人称が『あやの』になってる」



// 少し考える



「あやのの名前は岩本綾乃、28歳、専業主婦、新婚三年目……」



「……ほんとだ」// 愕然



//SE ぼそぼそとしゃべる音


「そ、そうだよね。まだ、一問目だもんね」


「びっくりさせないでよ、パ~パ♥」


「それじゃ、二問目……」



「『チェック その2 パートナーの呼称がパパやおじさんになる』か……」



// 黙って主人公と見つめ合う

//SE ぼそぼそとしゃべる音



「そ、そうだよね!」// 焦り


「昔からときどき言ってたもんね!」


「パ~パ♥ って、お父さんになった時の練習してたものね♥」


「これはノーカン♥ ノーカンだから♥」



「それじゃ、三問目……」// 落ち着きを取り戻す



「『チェック その3 語尾に♥が多くなる』ね……」



「なにこれ♥ こんなの分かんないよね♥ どうやって判断するの♥」// 煽り


「この簡易診断作った人♥ 語尾に♥が見えるんだ♥」



「す♥ご♥い♥ね♥」// ゲラ笑い



「おめめのおびょーき♥♥ すぐに眼科にいきなよ♥♥♥」



// けたけたとお腹を抱えて笑う

//SE ぼそぼそと喋る音



「え♥ 音声認識ソフトにかければ分かる♥♥」


「いいよ♥♥♥ ぜったい出るわけないから♥♥」


「♥なんて語尾につくわけないじゃん♥」


「できたら♥ 音声認識ソフトくん、優秀すぎ♥♥♥」


//SE 電子音

// ぎょっとして固まり、しばらく絶句する



「…………嘘だよね♥」


「めっちゃ♥が語尾にならんでる♥♥」



//SE ぼそぼそと喋る音

// 動揺しながらもこくりと頷く



「分かった、これが最後のチェックね……♥」// 真剣なトーン



「『チェック その4 煽り文句がざ~こ♥ざ~こ♥になる』か……」



「なにこれ♥ そんなのあり得ないんですけど♥」// 煽り


「『ざ~こ♥ざ~こ♥』なんて、漫画の中だけの話でしょ♥」


「そんなの言うわけないじゃない♥」



「やっぱり、この簡易診断作った人ってば♥ ざ~こ♥ざ~こ♥」



「……えっ!」// ハッとする



// 見つめ合う二人

// ぼりぼりと主人公が頭をかく

// ヒロインが不安げに胸に手を寄せる



「パ、パ~パ?」// 弱気


「あやの、やっぱりお病気なのかな……?」


//SE 椅子の軋む音

// 主人公がヒロインを抱きしめる

//SE ぼそぼそと喋る音

// ヒロインが涙を浮かべて、言葉に頷く


「うん♥ うん♥」


「そうだよね♥ 大丈夫だよね♥」


「ちゃんとお薬飲んだら♥ 治る病気だもんね♥」


「心配することなんて……なにもないよね♥」// 涙声


// 主人公がぎゅっとヒロインを抱きしめる

// ヒロインも主人公を抱きしめ返す


「最寄りの診療内科、精神科を受診すればいいのね?」


「……分かった。すぐに準備するね」


「……え? 着いてきてくれるの?」



「も~♥ パパってば心配症なんだからぁ~♥」// 無理矢理元気な声


「一人でも大丈夫だよぉ~♥」



// 主人公がさらにヒロインを強く抱きしめる


「けど……ありがと♥ パ~パ♥ だぁ~いすき♥」



☆ ☆ ☆ ☆ ☆


けっこうとんちきな話をしてるはずなのに、そこはかとなくシリアスなのも僕の癖です。もしよければ評価・フォロー・応援してくださると幸いです。m(__)m

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