魔戦士が敗れたか……

キノハタ

今日も魔王城は平和です

 竜王「魔戦士が敗れたか……」


 淫魔女王「ククク奴は四天王の中でも最弱……」


 大魔導師「我々四天王の面汚しよ……」



















 魔王「…………そうじゃったっけ?」


 竜王「いや、割と強い方ですね」


 淫魔女王「ていうか私よりは確実に強いですね!」


 魔王「なんで無駄に元気がいいんじゃ、おぬし」


 大魔導師「ふふおわ、おわわ、おわわったわ、ふふふ」


 魔王「しょーきにもどれー」


 魔王「……で、今回はなんで負けたんじゃ?」


 魔戦士「なんで負けたんでしょう……」


 魔王「本人がわかっとらんのおかしくない?!」


 魔戦士「いえ、どう考えても勝てる勝負だったはずなんです。……なのに、気付けば状態異常をかけられ、こちらの攻撃は寸でのところでいなされ、長時間の死闘の果てに負けてしまいました……」


 竜王「ちなみにレベル1だったそうです」


 淫魔女王「何それ、私でも楽勝じゃん。運負けよ運負け、見てなさい、私が仇をとってきてあげるわ!! じゃ、魔王様行ってきまーす!!」


 魔王「のう竜王、わしには既にオチが見えるんじゃが」


 竜王「そうですね……まあ、とりあえず続報を待ちましょう。あ、魔戦士は横になっときなさい。後で白湯持ってこさせるから」


 魔戦士「はい……いや、もう毒とか暗闇とか、無駄にたくさんかけられて……、正直体力の九割くらい毒でやられて……」


 魔王「………………」


 淫魔女王「負けましたー!!」


 魔王「早ない?!」


 淫魔女王「だって、なんかあいつらおかしいんですよ! 私の魅了ぜんっぜん効かないし、その癖、唯一私に利く暗闇と封じ系の状態異常ばっかり使ってきて! こっちの決め技の時はちゃーんとガードしてるし! レベル1なのにぜんっぜん倒せなくて! もー、なんでこんなことになるんですかーーーー!!」


 大魔導師「どうどう、サキュちゃん、落ち着いて、ほら魔戦士さんと一緒に寝てて。えーと……じゃあ、嫌な予感がするけど、一応、私行ってきますね……」


 魔王「うむ、いってらっしゃーい。あんまり無理はせんでよいぞ」


 大魔導師「珍しく、魔王様が優しい……。じゃ、行ってきまーす」


 魔王「はー……此度はハードな戦になりそうじゃ……」


 竜王「しかし奴ら、どうしてレベル上げんのでしょうな? 魔戦士を破ったルーンがあれば簡単にレベルを上げられるはずですが」


 魔王「あー……多分な、『低レベル攻略勢』じゃ」


 魔戦士「低レベル攻略勢……? ごふっ!」


 淫魔女王「ちょっ、魔戦士くん! 私の隣で血ぃ吹かないで!」


 魔王「たまーにおるんじゃよ……、あえてレベルを上げんという縛りを己に課した勇者へんたいが。奴らは、道中でのレベル上げも一切せず、ただ如何に弱い己のまま強者を打倒せるかだけを考えて生きておる」


 竜王「それをすることに如何様な意味が……? あえて不利をとっているようにしか見えませんが……」


 魔王「それは儂にもわからん……。ただ、あやつら、低レベルで攻略するために、ありとあらゆる手段を使うし、こちらの情報を徹底的に洗ったうえで勝つためのチャートをちゃーんと組んできよる。その過程で何戦負けようが、いい出目が出るまでお祈りしながら突っ込んできよる。……儂としては下手なカンスト勇者より恐ろしいよ」


 竜王「なんと……では此度も」


 魔王「勝てんじゃろなぁ……」


 大魔導師「勝てませんでした―――!!! ごふっ!!」


 淫魔女王「おかえりー、ドンマイ、ドンマイ、気を強く持って」


 大魔導師「魔法反射はクソ」


 魔戦士「解除魔法は使わなかったのか……?」


 大魔導師「使った瞬間にスタンバってましたって顔で、張り直してくるし。こっちも魔法反射してやろうと想ったら、そのタイミングでこっちに解除魔法撃ってくるし……」


 淫魔女王「気の毒過ぎるね……」


 竜王「ふー……では、私も行ってまいります……」


 魔王「うん、あんま無理はせんようにの……」


 魔戦士「竜王様なら大丈夫ですよ! なんせ我ら四天王の中でも最強ですから!」


 魔王「そうなんじゃが。最強だからこそ、対策法が巷に乱立してるのが、あやつ最大の弱点でのう……」


 レベル1勇者へんたい「たのもーーー!!」


 竜王「ぐふっ! ぐほっ!」


 淫魔女王「おかえりなさーい。竜王様、ベッドこっちこっち」


 魔戦士「四人でベッド入るかなあ?」


 大魔導師「いつも使ってるから大丈夫ですよ。あ、翼はしまってくださいね、竜王様」


 魔王「はあ、結局、儂がやることになるのよね……」


 レベル1変態「魔王、覚悟!!」


 魔王「いいけど、怪我人おるから外でやろ、な? つーか裸縛りまでしとんのかおぬし、生粋の変態じゃなあ……」
















 魔戦士「で、どうやって勝ったんですか?」


 魔王「ん、固定ダメージの特技ってあるじゃろ? あの全員に絶対当たるやつ」


 淫魔女王「あー、普通に魔法撃つ方が強いやつですよね」


 魔王「そうそう、でもあれ、どんなに対策立てても、固定ダメージじゃから普通の魔法と違って低減も防御もできんじゃろ? で、あやつらレベル1じゃから、HPが鬼のように低いじゃろ?」


 大魔導師「……魔法反射とかされませんでした?」


 魔王「儂のこれ、特技じゃから、関係ないし」


 竜王「状態異常とかは?」


 魔王「儂、そもそも、状態異常もデバフも効かんし」


 魔戦士「敵の防御アイテムとかは?」


 魔王「儂の方が先に動くから意味ないのう」


 淫魔女王「死亡時復活おまじないは?」


 魔王「そんなの、1ターンのうちに2発目を撃てば終わるじゃろ? 何回あるか知らんが、あれ有限じゃからのう 尽きるまで連打したらいいだけじゃ」


 四天王「「「「…………」」」」


 魔王「それを300回くらい繰り返したら、諦めて帰りおったよ」


 大魔導師「味方ながら控えめに言って、クソゲーでは?」


 魔戦士「もう魔王様、独りで全部よくないですか?」


 魔王「いーやじゃ! もう倒しても倒しても諦めん勇者へんたいの相手を儂ばっかりがするのはいーやーじゃ!」


 淫魔女王「まあ、魔王様負けたら、私達全員死ぬんで、頑張ってください☆」


 竜王「お労しや、魔王様……」


 魔王「いーやーじゃー、いーやーじゃー! もう変態の相手はこりごりじゃーー!!」





 今日も魔王城は平和です。








本日の勇者からのメッセージ

『レベル1で淫魔女王を暗闇と腕縛りでハメてる時が最高に生を実感する。メスガキをわからせてる感がたまらない』


本日の魔王様のコメント

『……性を実感してるの間違いじゃろ?』

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