終章 光の中で生きる者よ

 ごくっ、ごくっ、ごくっ。

「ぷっはぁーっ! うひー、あっはっはっはっは!」

 ジョッキ一杯のビールを一気に飲み干して、サングラスの男は上機嫌に笑った。出来上がった彼の顔は既に蛸のように赤い。向かいに座る彼の恩師は、喧しい教え子を睨みつける。

「煩い奴だな。さっきから何がそんなに面白いんだ」

 酒癖の悪い教え子に苦言を呈しつつ、木皿に盛られた枝豆に手を付ける。塩味の利いた豆の味を楽しんでいる間に、先に呼んでおいた店員がやっとこさ駆け付けた。

「この焼き鳥てんやわん屋盛っての、頼む」

 すると、彼女は花が咲いたような笑顔で頷いて、厨房に向かって艶のある声を張った。

「追加オーダー、焼き鳥てんやわん屋!」

 すると、何故だか厨房で悲鳴が上がった。

「うげーっ、てんやわん屋でたぞ!」

「店長、メニューから消したんじゃなかったんですか!」

「バーローお前……忘れてた」

「「なぁにやってんだぁ!」」

 てんやわんやである。ヤジマは注文を取り消そうかとも思ったが、ホール担当の女性が頬に手を当てうっとりとした笑みで厨房を眺めているので、水を差すのは気が引けた。

「決まってるじゃないですかぁ!」

 急に大声を出したイシガミを見る。何故だか怒ったような表情でたっぷりと間を取った後、急に笑顔になった。

「志村ケイゴですよぉ」

 ヤジマは溜息をついた。イシガミは空になったジョッキを見ながらへらへら笑っている。

「さっきから何度目だ、その話は」

「だぁって、気分いいじゃないですか。ヒヒ。あんなにスカした態度だった奴が、あの後俺に詫び入れたんすよ。『今まですみませんでした、イシガミさぁん。助けてくれてありがとうー!』ってさ」

「誇張しすぎだ」

 イシガミの言う「あの後」について、現場に居合わせたヤジマは都合のいい解釈が混じっている事を知っている。

 戦いのあと、地下十三階のドックにて。ケイゴはイシガミに礼と謝罪を申し入れた。土壇場で命がけの一手を繰り出してくれたことと、命を捨てるような考えを正そうとしてくれたことの礼。そして、相手の意見を受け入れず軽んじていたことを詫びていた。そんな殊勝な態度を予想だにしていなかったイシガミは困惑し、「わ、わかればいいんだよ」とだけ言って、逃げるように立ち去った。

 素直な少年とそれから逃げ出す大人。立派なのは明らかに前者だと思うがな。わざわざ口に出さないが、内心呆れていた。

「しかし、彼も変わったな。あの会議室で初めて出会った時は、肝が据わっているというよりも現実味が無いように見えて、どうなるものかと思ったが」

「ビビりすぎなんすよ、教官殿は」

「お前が言うか」

 瀬川タツローを連れて志村ケイゴの顔を見に行った時の事を思い出す。話の進行をイシガミに任せて後ろで控えていたヤジマは、イシガミが警戒心を剥き出しにして場に臨んでいたことをはっきりと覚えている。

 当のイシガミは恩師の言葉を遠く聞く。酩酊して虚ろな瞳で虚空を見つめつつも、志村ケイゴと出会ってからこれまでを回想していた。

「俺、思うんですよ」

 急に静かなトーンで語り出すので、ヤジマは冷酒を口に運ぼうとした手を止めた。

「アイツ、俺が睨んだらまっすぐ見返してきて。アイツの目に映る俺がどんなのか気になっちまった。アイツは裏表が無いから。アイツの目に映る俺が、本当の俺のような気がして。言いたいことわかります?」

 勝手に長くしゃべった挙句、相手を試すようなことを言う。不躾な態度だが、ヤジマはそれに付き合ってやれる器量を持ち合わせていた。髭の生えた顎を手でこすりながら思案する。

「鏡のよう、とでも言いたいのか」

 我が意を得たり。イシガミは恩師の答えに満足して頷いた。

「そうそう。志村ケイゴの目は自分を映す鏡なんですよ。アイツを見てると、自分がどんな奴なのか思い知らされる。だから、まっすぐ見てると自分がわからなくなって不安になるんだ。例えば俺は……虚勢を張ってることを見透かされた気がして、腹が立った。けどそれは、肩書に見合う活躍ができなかった自分自身に苛立っていたし、何より特機を扱う高校生に対する嫉妬だったんだ」

 酒が入ったせいかイシガミは饒舌だ。プライドの高い彼が他人をここまで高く評価し、自分の弱さを認めるような事を言うのは本当に稀だった。

 ヤジマはそんな愛弟子の姿を肴に、酒を飲む。渋みを含んだ辛みがこの上なく旨い。

(だが、この酒はまだこいつには早いな。しかし、こんなに贅沢な味を楽しめるほど俺は年を取ったのか)

 不意に自らの老いを自覚してヤジマは自嘲気味に笑う。だが、何故だかそんな感覚も心地よかった。老いたからこそ成せることもあると、今日は強く思う。積み重ねた年月は決して無駄ではない。目の前の男がそれを証明してくれた。

「強く在るならば、他人の為に在れ」

 ヤジマが呟くと、イシガミは視線を返さずに言った。

「誇るならば、体現して見せろ。……すよね」

 迷いなく続きを言って、かつての教え子は笑った。

 これは、かつてヤジマが彼に教え込んだ心構えだったが、彼は忠実にそれを実行していた。昨日は言葉を思い出せなかったが、それだけ自然に彼の信念となっていると捉えることもできる。事実、彼は肩書に見合う活躍ができずに葛藤していたのだ。

「悔しいけど、志村ケイゴを理解することで自分を見つめ直すキッカケになりました。俺ぁ、もっと強くなりますよ」

「はぁいお待ちどぉ様でぇす! 焼き鳥てんやわんや盛り~~~!」

 力強く宣誓するイシガミだったが、そのテーブルに大量の焼き鳥が運ばれてきてヤジマの視界から消えてしまった。大量の鳥の串焼きは大皿いっぱいに広がり、その上に正気を疑うほどの肉量で山を作っている。とてもじゃないが二人で食べられる量ではない。厨房では、力尽きた三人の男がぐったりとしていたが、ホール担当の女性が一人ずつ尻を叩いて回って、喝を入れていた。

「こ、これほどとは。てんやわんや……」

 信じられない物を見たヤジマは首をゆっくり横に振っている。しかしこれは現実で、気づけば店中の視線を集めていた。

「教官、こりゃしんどいっすよ」

 さすがの正規軍のエースも弱音を吐く。食事が始まって一時間が経過していて、二人は既に満腹に近い。

「教官、少尉殿! 我々も戦います!」

 二人の窮地に名乗り出たのは隣のテーブルを囲んでいた前線部隊の新兵達だった。それぞれが拳を握り、身を乗り出す勢いでやる気を見せている。彼らの熱意がイシガミの胸を打ち、思わず目に浮かんだ涙を腕で拭う。彼の情緒は、アルコールと志村ケイゴによって破壊されていた。

「お、お前ら、半人前の癖に気を利かせやがって。いいぞっ、食え! 兵士が焼き鳥なんかに負けねえってとこ見せてみろ!」

「「「「応っ!」」」」

 こうして、若い兵隊たちが焼き鳥に戦いを挑む。山盛りの焼き鳥は二人には多すぎたが五人ならあっという間に減っていく。その熱量が面白おかしく、見物する客の声援が飛び交う店は今日一番の盛り上がりを見せていた。

「はっはっは!」

 ヤジマもついに吹きだすと、イシガミが抗議の目線を送る。

はひまふぁんヤジマさん! はにわらっふんはなにわらってるんすかふーもんふぃたのちゅうもんしたのんぐんぐアンタでしょあんたでしょ!」

 イシガミが抗議を口にするが、前半部分は殆んど言葉にならず聞き取れない。ヤジマは尚笑った。

「いやぁ、何言っとるかわからん」

「畜生、なんでこんなもん頼んだんですか!」

「そりゃお前、謝罪と礼だ」

「?」

 イシガミは意味が分からず呆ける。真意を問いたいところだったが、後ろで悲鳴が上がった。

「少尉殿! お腹いっぱいです!」

「バカヤロー、まだ全然食ってねえだろうが」

「ごっつぁんです」

 頼りない仲間達が弱音を吐くので、エースは戦線に復帰していく。会話はうやむやに終わった。

 昨日、新兵どもの前で恥をかかせたことの謝罪。群蝙蝠との戦いで撤退を助けてくれた事の礼。そんなこと、本人は忘れていそうだが。

 素直に言えたケイゴの強さが身に染みてわかる。恐れを知らぬその若さが、老兵には眩しかった。

「強くなれ、若造共。だが、変わってしまうなよ」

 仲間たちを誇りに思いながら、老兵は大口を開けて笑った。


 ☆☆☆☆☆


 研究所の復興作業は夜通し行われた。それから陽が昇り、再び沈み始めてもまだまだやることは残っている。

 大怪獣と翠の城壁エメライガーが暴れまわったことで富士砕力研究所はかつてないほどの荒廃ぶりを見せている。とくに「のしかかりプレス」により生成されたクレーターの復興作業は、はずみで地下空間に穴が開くのではと、命綱を着用しても尚心細かった。……という愚痴を、一部の者達が方々に言って回っている。

 また、尻尾攻撃が直撃した第二棟も機能を完全に停止してしまっている。敷地内の大半が壊される前提の建物であるのに対し、本棟付近は比較的重要な役割を担う建造物が多い。第二棟は主に飲食スペース等休憩用設備が多く存在していた建物で、その中でも重要性が比較的低い施設だったのは不幸中の幸いだった。だが、息抜きには必須な区画であるが故に復興作業には職員の熱がこもる。

 これだけ大規模な戦闘が発生して、戦死者が一人も出なかったのはかなり幸運であり、そもそも勝利を収めたこと自体が大概な奇跡だった。とはいえ、この状態で新たに襲撃を受けてはたまらない。敷地中に散った職員は総出で復旧活動に当たり、急速に作業が進んでいる。ただ、これが二日連続と言うのはなかなか堪える。そうでなくても、今日は日曜日だった。

 夕日が人々の横顔を照らす。勝利の余韻に浸るのも終わり、疲労が色濃く見え始めた頃だった。

「おや」

 作業員の一人があることに気が付いて、瓦礫を運ぶ手を止めた。第一区と第二区の境に一本の桜の木がある。この研究所の敷地内には街路樹の様に植物が数か所植えられているが、一週間前の大被害とこの二日間の激闘で大半はなぎ倒されてしまった。この桜の木は、翠の城壁エメライガーとギガードンの最終激突の際、その間に立っていた木だ。結局生き残ったらしい。

「生き残ったんだねえ。私たちは」

 汗を拭いながら、ある少年の事を思い出す。この桜の木の陰で、彼は周囲を伺っていた。友人に会わせろと叫んでいた彼はどうなっただろう。若く、がむしゃらだったその必死な形相をよく覚えている。まさしく春の嵐のような、不思議な力強さを持った少年だった。彼が走るたびに強い風が吹いて、若い息吹を受けると年老いた自分の身体にもその活力が僅かに戻ったような気がした。

「もうすこし、頑張ろうか」

 名もなき作業員は小休憩を終えて懸命に励む。一人一人が、生き残るための戦いを続けていた。


 本棟は夕日が差し込んで、しかし照明をつけていない廊下は薄暗い。道中にある部屋を通り過ぎる度、タチバナは緊張で鼓動が大きくなるのを感じていた。目的の部屋の前で立ち止まり、深呼吸を一回。扉の上のプレートには「副司令官室」と書かれていた。

「カツムラさん」

 震える声で呼びかける。しばらく待ってみても返事はない。ノックをしてから二度目の声掛けをして、それでも返事が無いのでドアノブを握る。鍵がかかっていなかったので、中を覗き込んだ。

「あっ――」

 声を出しそうになって、思わず口を押える。確かにそこにカツムラは居た。執務用のデスクの前、椅子に腰かけたまま瞳を閉じている。タチバナは部屋に侵入し、足音を立てないようにつま先からゆっくりと、前へ前へと歩いて彼の元へ近寄ってみる。元々色白の彼が目を閉じて座っている所を見ると、死んでしまったのではと不安に駆られる。しかし、浅い呼吸の音と、僅かに上下している肩の動きから眠っているだけだと知り安堵した。

 思えばここ最近、彼は働き詰めだった。発端は一週間前の鏡の顕現から。ケイゴを迎え入れるために奔走して、昨日、一昨日の鏡界獣の襲撃によって発生した被害には、その復興の指揮や機体のメンテナンス状況の把握、日本正規軍への報告までとにかくたくさんの雑務をこなしてくれた。タチバナ自身もそれは多くの業務をこなしたが、カツムラの仕事量はそれ以上だ。事実、彼は今日二徹目である。

「カツムラさ~ん」

 そこへ、声をかけながら扉に手をかける人物がいた。丸眼鏡に猫背の彼は、整備班の一人で班長である。扉が開いていたので気安く入ってきたものの、眠っているカツムラ副司令官とその傍らにいるタチバナ司令の図に困惑した。

「ど、どういう状況」

「しーっ」

 司令官は口元に手を当てて懸命に合図した。上官命令に従って慌てて口を両手で塞ぐ。

「どうしたんですか?」

 極めて小さな声でタチバナが尋ねる。丸眼鏡の職員もそれに小声で応えた。

翠の城壁エメライガーの修理の進捗についてお話ししたかったんですが、内線かけても出ないんで。直接報告に来たんです」

「それは手間をかけさせたな」

 低い声に二人は悲鳴を上げて、特に間近のタチバナは跳び上がって驚いた。

「か、カツムラさん! 起きていたんなら教えてください」

「失礼。眠っていたのは本当です。気が緩んでいますね……うっ、く」

 言葉に詰まり、口がもごもごと動いてまた息を吐いた。どうやら欠伸を噛み殺したらしい。

 丸眼鏡の彼は手早く報告を済ませようと、早口でまくしたてる。最後に「お疲れのところすみませんでした」と言って頭を下げ、猫背のまま部屋を後にした。作業服は全身に煤汚れが見られ、心なしかいつもより表情もくたびれている。ひょっとしなくても、彼も徹夜なのではないだろうか。不明点の解析も急ぎたいところだが、先ずは休養を与えるべきかもしれない。タチバナはそんなことを考えていた。

「それで、私に何かご用ですか」

 いつまでも本題を切り出さない彼女に変わって、カツムラが声をかけた。

「あっ、はい。えっと、その。相談と言うか」

 いざその時になると緊張し、タチバナは目を泳がせて口ごもる。カツムラは次に言いたいことを何となく察して、黙って彼女の次の言葉を待った。やがて乾いた口が動いて、掠れた声を出す。

「私、司令官辞めようと思うんです」

「そうですか」

「えっ」

 あっさりとした返答に、タチバナは困惑した。事も無げにカツムラは言う。

「なにか?」

「あ、いえ。あはは、そうですよね、すみません」

 実のところ、ちょっぴり引き留めてくれることを期待していたし、事情くらい聞いてくれると思っていた。それだけの付き合いがあると思い込んでいただけに恥ずかしい。よく考えてみれば当然だ。強引に司令官の座に居座ったお飾りの少女に振り回されて、彼もさぞ迷惑していただろう。

 カツムラは眠気に耐えるように目頭を押さえた。

「貴方の人生だ、好きにしたらよろしいと思います。星の啓示を得た者アストラルゲイナーとして戦う道は司令官だけではありませんからね。ただ……」

 そこで言葉を区切るカツムラに、タチバナは首を傾げる。彼は次の言葉を言い淀んだが、結局口にすることを決めた。

「……私なら、翠の巨人エメーラを見捨てていました」

「え?」

 タチバナは驚きのあまり目を見開いた。

「一度目のギガードンとの戦い。貴方は志村ケイゴの言葉に従い、砕力集中光撃砲アストラルビームの目標を鏡に変えたでしょう。私ならそうはしなかった。翠の巨人エメーラがギガードンを抑えているうちにビームの照射を行い、たとえ翠の巨人エメーラごとであっても撃破を狙ったでしょう」

 思いつきもしなかった作戦にタチバナは面食らったが、反論を話す。

「しかし、それでは翠の巨人エメーラを失いますし、なによりギガードンを倒し切れる確信がなかったのでは」

「それは結果論です。砕力集中光撃砲アストラルビームの直撃に耐えた鏡界獣は今まで居ませんでした。敵が翠の巨人エメーラの戦闘力を上回っていた以上、こうするのが一番確実に敵を撃退できると、私は本気で思いました。まさか、投げ飛ばすなんて予想はできません。……あなたの様に彼を信じることも、ね」

 言葉の最後に、カツムラは彼女に微笑みかけた。この男が誰かに微笑みかける事は非常に稀な行動であったが、余裕のない少女はそれに気付かない。

「でも、私は」

 醜く取り乱してしまった自分の事を思う。ケイゴの過去を聞いたことは、きっときっかけに過ぎない。日々の司令官の職務に対する重圧が彼女の心を蝕んでいた。それに、自分のしたことは卑劣だと内心卑下している。正しい方法で手に入れられなかった椅子は彼女の心の汚れが染みついてしまい、偉大な父の後釜としては相応しくない。いい加減そう気付いたし、他でもないカツムラにそうだと言われたかった。

 そんな彼女に、カツムラは言う。

「人は未来の全てを予想することはできない。それが例え第六感に目覚めた人類だとしても。だから備え、万全を期す。私はずっとそうしてきたつもりでしたが、根本的に間違っていたことがあります」

「それは?」

「それでも未来を信じる事です。未来は恐れるものではなく、信じてその場所に向かって歩むべきだった。私は、彼等からそれを学びました」

 伏せがちで、揺れていたタチバナの瞳が上を向き、希望を語る彼の事を見つめていた。

「未来とは、今我々が今我々が成し遂げたことの結果です。最善を尽くせば必ずそれが成されるとは限らない。だが、成さねばここで終わってしまう。志村ケイゴは最初からそれがわかっていて、迷いが無かった。そんな彼でさえ力の原動力は随分後ろ向きな感情でしたが、それも友情と使命によりともに生き抜く事への執着に昇華された。彼は弱くなったのかもしれない。けれど、それでいい。力も、心も、欠けているなら補えばいい。我々は独りではないのだから」

 カツムラはゆっくりと振り返り、窓の外を見る。タチバナも釣られてその景色を目に映した。夕日に照らされながら、破壊された自分たちの研究所を誰もが懸命に復興しようとしている。

「貴方は胸を張るべきだ。私たちが生き残ったのは、貴方の采配のおかげですよ。あれだけの戦闘が起こって、人一人死ななかったのは最早現実味が無いほどです」

「そんな、それは皆さんが奮戦したから……」

 尚も卑屈に食い下がるタチバナの言葉を、カツムラが遮った。

「私は、貴方を誇りに思います」

「!」

 少女は息を呑んだ。男は少女に背を向け、せめて強がって見せる。

「繰り返しますが。貴方の人生だ、好きにしたらよろしいでしょう。ですが私は、貴方こそが司令官としてふさわしいように思える」

「……ろ、論拠はぁ」

 彼女の声が上ずっている。副官が振り返ると、司令官は涙ぐんで鼻を赤くしていた。

「その、うぅ、その発言の論拠はなんですか」

 振り切れた感情が涙となってポロポロと堕ちていく。不安と焦りでいつも険しい表情をしていた司令官は、今は未熟な少女に戻ってしまったようだ。それでも声を上げるのを必死に我慢している。

です」

「ウ……!」

 論拠に欠く、だった。それがトドメとなり、彼女は両手で顔を覆って……。

「――――ぅわああああああああん!」

 大きな声を上げて泣いた。

 ずっと泣いてはいけないと自分に言い聞かせてきた。自分の弱さを許した少女の大きな泣き声は、きっと産声に等しい。……と、カツムラは思った。

 

 葛村カツムラ宗次は、この研究所の司令官になるはずだった。ところが、前任の立花遼平大佐の娘がその後を継ぐことになり、昇進の話も併せて見送られることになる。

 カツムラは合理的な男だ。上層部の判断に根拠もなく反論することはない。だが、見定める必要があると思っていた。彼女は多くの人間の命を預かるのにふさわしい人間なのか。カツムラはずっと疑っていた。その結果、彼女は孤独になった。副官である自分にすら頼れずに。

 彼女に異変が起きた時、それにいち早く気付いたのは瀬川達郎タツローだった。華奢な身体を支えるタツローを見た時、自分は今まで何をしてきたのか、わからなくなった。志村圭吾ケイゴが仲間を信じることで強くなれた様に。彼女を疑う前に信じるべきだった。ケイゴに使命を言い渡しておきながらも、自らの使命を全うしていないことにやっと気づいた。

 立花タチバナ涼香は泣いている。少女の産声は、泣けない男にとっての始まりも告げていた。僅かな微笑みを浮かべる彼は少し困ったように笑っていて、今だけは固い意志の仮面を外していた。

 

 ☆☆☆☆☆

 

 薄明の空を雀が飛んでいる。寝室には、もぬけの殻になった布団だけがそこに残されていた。

 志村圭吾ケイゴは洗面台の前に立ち、鏡を見た。鏡の向こうで自分が見つめ返している。こちらもまっすぐ睨みつけてみると、鏡に映る自分も目を細めて睨み返してきた。意地の張り合いは少しの間続く。両者は同じタイミングで根負けを認めた。

「……フッ。確かに、人相悪いな」

 思わず笑うと、自分に笑みを返される。そのまま、洗面台を後にした。

 トーストでこんがり焼いたパンとレタス、焦げ気味のベーコンが皿に盛られている。少し早起きした甲斐あって、それなりにうまい。リモコンを探してテレビの電源をつけようとするが、長いこと放置されているうちに電池を切らしていたらしく、仕方ないので直接電源を入れる。朝の情報番組は最近話題のステーキハウスを話題に取り上げていた。

「ハンバーグステーキ……肉汁……」

 無意識につぶやいた自分の声を耳が拾う。パンを食べる手が止まっていたことに気が付き、意識的に動かした。先ほどまでそれなりに美味しいと感じていた朝食もテレビに映る肉の誘惑に比べると味気ない。少し前まで食に関心が無かったが、ギガードンと戦って以来お腹が空いて仕方がなく、何を食べてもおいしく感じるようになってしまった。このままでは太ってしまうかもしれない。そんなことを真面目な顔で話してみたら、タツローは手を叩いて笑っていた。

「今度、アイツを誘ってみるか」

 食事を終えて席を立つ。テレビを消すために、また直接テレビの横の電源ボタンを押した。黒くなった液晶は、楽しげな横顔を誇らしげに映している。

 Yシャツに手を通してブレザーを羽織る。ピアスを手に取ったが、耳には付けず内ポケットに忍ばせた。最後にリュックサックを背負って玄関へ向かう。そこにはやはり、花瓶も姿見もない。それでも、誰かに見られてもいいように、しゃんと背筋を伸ばした。鉄の扉を押し開けると、穏やかな風と温かい春の陽気が彼を出迎えた。ケイゴは、それに誘われるように外の世界へと向かって行く。

 いくつかの交差点を越えて桜並木を見上げる。カツムラと初めて出会ったこの場所の桜は、土日を越えて随分散り始めている。また、一本分スペースが開いている事にも気が付いて、足を止めた。ポケットに手を突っ込んだままその場を観察すると、歩道に散った桜の花びらの下にブレーキ痕が僅かに残っているのを見つけた。ふと、警察にはどう説明したんだろう、なんて疑問が浮かぶ。軍隊ならいくらでも融通が利くんだろうか。

 そんなことを考えていたら耳が騒がしい足音を拾った。振り向くと、やっぱり親友アイツがいる。

「おーい、ケイゴォ!」

 タツローは今日も忙しなく肩下げの鞄を揺らしている。鞄のベルトがいつか千切れてしまうのではないかと思ったが、それも彼らしい気がしてちょっぴり期待している。

「追いついたぜ」

「ああ、おはよう」

 親友は肩を上下させて息を切らしていたが、直ぐにそれも落ち着いていく。タツローの家からこの桜並木まで三駅分の距離があるが、こいつは頑なに徒歩で通学を続けている。もしここまで走ってきたなら、相変わらず呆れかえるほどのバイタリティーだ。

「タツロー、研究所まで徒歩で通ったって話は本当なのか?」

「お? おー。車とかバイクないしな」

「諦めたりしないのか?」

 ケイゴにとって素朴な疑問に、その意図がわからずタツローは小首をかしげた。それから、当時の事を思い出す。

「お前に置いて行かれて、俺はそれを夢だとさえ思った。そんな惨めな自分が許せなくて、気づいたら足が動いてた。けど、結局何もできなかったな」

 タツローの表情が消えている。二日間の出来事を振り返れば、タツローはただ騒いで慌てて応援しただけだ。そこに何の意味があるんだろう。ふと冷静になった時、タツローは自身が何もできなかったことを痛感していた。

「ふ。馬鹿だな、お前」

 ところが、ケイゴはそんなタツローの思いを一笑に付す。あまりに的外れなので、思わず鼻で笑ってしまった。

「な、なんだと」

 不意を突かれて動揺したまま、生来の勝気な性格により脊髄反射で食って掛かる。

「そんなこと考えてるの、お前だけだよ。お前がいなきゃ、俺は――」

 言いかけて、親友の表情を盗み見る。彼は本当にわかっていないようで、困惑したまま固まっていた。

 ケイゴはにやりと笑う。

「――辞めた」

「はぁ!?」

 怒りだしたタツローの不意を突いて、ケイゴは学校に向かって走り出した。

 慌てて親友の背を追うタツロー。走りながらも彼は今回の出来事を、そして親友とのこれまでを思い返していた。

 あの日からケイゴの心はここになかった。顔は笑っていても、喜びも、怒りも、悲しみもなかった。それがわかってしまうから、タツローはいつだって彼から離れてしまおうかと悩んだ。だが、自分が見放したら誰が彼を助けるのか? そう考える度、タツローは腹の奥、きっと魂のようなものが急激に冷えて、自分の大切な物が死んでしまうような危機感を覚えた。

 どうしたらいい。悩み、叫び続けても、彼の心に届かなかった。

 だが、たった二日間の出来事が眠っていた親友の心を呼び覚ました。衝撃の出会いと体験を通して、タツローは悟った。助けを求めればよかったのだ。自分一人で誰でも助けられると、誰より過信していたのは自分だった。お前は独りではないと叫ぶ、タツロー自身が孤独で、助けに飢えていたことに後から気づいた。

(俺も報われたかったんだ。アイツを助けて、俺自身を助けたかった。俺は、一緒に困難を乗り越えられる仲間が欲しかったんだ)

 本当に情けない話だ。だが、どうしようもない事実だと認める。

 情けない自分が認められなくて走り出したことが発端だというのに、それを認める事が彼にとって必要なことだったのだ。

「遅刻するぜ、タツロー」

「んなっ!」

 親友の反応が面白くて、ケイゴは走りながらまた笑った。彼が浮かべているのは心の底からの笑顔で、見ているタツローも釣られて笑ってしまう。春の強風が吹きつけると、二人の背中を強く押した。肌寒い季節は終わり、きっとこれから暖かくなるだろう。少年は必死になって足を動かすと、腹の奥のきっと魂のようなものが、ぐつぐつと熱を帯びていった。


 ☆☆☆☆☆


 遅刻ギリギリで教室に飛び込んだ時、ケイゴはまだ全力疾走したことによる興奮から解放されておらず、薄ら笑いを浮かべていた。

「はっ、はっ、はは……」

 寡黙で何を考えているのかわからないような男が、今日は朝からにやけ面で登校してきた。その見慣れない光景にクラスメイト達は彼を凝視している。

「あれ、本当に志村君?」

 噂好きの女子二人が噂話を始める。ケイゴが自分の席に着席すると、彼女達は「ほ、ホンモノだ」と慄いた。

「志村君、笑うんだ」

「こりゃ、なんか起こるね。槍が降るか、怪獣が出るか」

「出たらしいよ、鏡界獣。富士山基地に」

「富士砕力……なんとか基地じゃなかった? だいぶ前にニュースやってたよね。あそこ、まだあったんだ」

 姦しい女子たちの噂話は好き勝手に続けられている。境界線防衛基地が発足してからはが市街地に出現することは殆んど無く、今の若者にとって人類と鏡界獣との戦いは、テレビの向こうの世界という認識が強い。「富士砕力研究所」の名称を覚えている高校生など、よほどのマニアかうんちく好きしかいない。

 ケイゴは制服の上着ブレザーを脱ぎながら息を整えた。やはり隣の席は空席で、空の様子がよく見える。真っ青な空に大きな雲が呑気に漂っていた。

「……あ」

 何かに気付いたケイゴが声を漏らすと、周囲の席のクラスメイト達が揃ってこちらを向いた。しかし、何も言葉を続けなかったので、何事もなかったかのように視線を戻す。言葉には出さないが、このクラスの誰もがミステリアスな志村君の事が気になっている。

 一方、ケイゴは隣の空席の主に思い当たっていた。確かに金曜の朝、その名を聞いていた。先生の話をちゃんと聞かなかったことがこんな形で響いたと驚き、少しだけ反省している。

 チャイムが鳴って、担任の栗山先生がよろよろと頼りない足取りで教壇の前に立つ。彼女は土の様に酷い顔色をしていて、月曜の朝はいつも酷い二日酔いに苛まれている。しかし、ケイゴと目が合うと随分驚いて、続いて咳払いをして誤魔化すのでケイゴは意図がわからず首を捻った。実は、彼の生活態度を厳しく指導したい栗山は、いつも朝一番に彼を睨みつけるのがルーティンになっていた。しかし、それはいつも彼の視線が教室の外を捉えていたので不発に終わっていたのだった。

 調子を崩した彼女は眼鏡のズレを直して気を取り直す。その仕草を見てケイゴはカツムラを思い出し、小さく笑った。

「出席を取る前に今日はお話があります。……では、立花タチバナさん」

 扉をくぐって教室に入ってきた女子生徒は、美しい金の髪を棚引かせて生徒たちの目を引いた。そして、それはケイゴも同様である。なにせ、ただ美しいのではない。其処に居たのは、ともに死線を潜り抜けた司令官のタチバナ本人なのだから。

 彼女は微笑みを絶やさないでいるが、ケイゴにはそれが強がりに見えた。壇上に立つ先生の隣に来ても彼女は固まったまま口を開かない。泳ぐように定まらない彼女の視線は、窓際から二列目最後尾の志村君を見つけた。彼は驚いているようだったが、何かを期待して笑っている。すると、彼女の顔に張り付いていた微笑みが解かれ、緊張した素顔が現れて一生懸命に口を動かした。

「た、立花涼香です。よろしくお願いします」

 乾いた口から出た声は少しひっくり返ってしまったが、それはクラスメイトには悟られなかった。むしろ特徴的でかわいい声だと捉えられたらしく、浮ついた視線が集まっている。

「休学していたタチバナさんです。今日から復学するので、皆さん仲良くするように。席は、志村君の隣の窓側!」

 勢いよく指差しをする担任に驚きながらも、タチバナはその席へ向かう。座ってから、隣のクラスメイトと目が合ってくすりと笑った。

「よろしくお願いします、志村君」

「敬語は要らないんじゃないか? クラスメイトなんだし」

「……それもそうだね。ケイゴ君に敬語は要らないか。あ、これは駄洒落じゃなくて!」

「いや下の名前かよ」

「だって、タツロー君があんなに呼んでたから」

 二人は声を抑えて笑いあう。その様子を遠巻きに見ていた姦しい女子たちは、その異変に戦慄していた。

「なにあれ、休学してた立花さんと志村君知り合いなの?」

「しかも、志村君めっちゃ笑ってるし!」

「どういう関係?」

「……笑った顔、可愛いかも。志村君……」

「え? ……お前、マジか」

 片方がほんのり上気した顔でいると、相方は呆れていた。

 

「研究所は良かったのか?」

 ケイゴが最後に研究所に顔を出したのはギガードンを倒した土曜日だ。日曜日の復興状況や、出来事は知らない。

「カツムラさんたちにお任せしてる。元々、事態が落ち着いたら復学するようにとカツムラさんに勧められていたので。私、これでも外国で大学まで飛び級で卒業しているんだけどね。子供はちゃんと学校に通うべきです、って。不在の間はカツムラさんが代理で頑張ってくれるって」

「なんだ、やっぱり偉い人だったんだな、あの人」

「うん。ほんとは私よりもずっとすごい人なんです」

 そういう彼女は、小さく胸を張り口元を歪ませて、慣れないどや顔を作っている。控えめな性格の彼女は、身内の自慢話にも慣れていないらしい。

「負けていられないじゃないか。研究所、乗っ取られちまうかも」

「それは困る」

 そんな会話をして、二人は笑いあっていた。……その時、二人の第六感アストラルネイションが反応、衝撃の予感がして同時に前を向く!

「コルァ、イチャつくなガキ共! チョークくらえ!」

 ついに本当に放たれた必殺のチョーク投げが二人に迫る。前の席の生徒たちは身体を仰け反ったり、頭を抱えて悲鳴を上げながら避けた。しかし、二人は慌てることなく、それぞれ人差し指と中指の間にチョークを挟み、攻撃から防御した!

「な、何ィ」

 栗山は驚いて仰け反っている。これくらいの事は、衝撃を予知する二人にとっては朝飯前だ。

「何か用ですか、先生」

 ふれぶてしくも用件を尋ねるケイゴ。一方、タチバナは自分のしたことを今更になって自覚し、顔を赤くして俯いた。

「朝礼中に喋ってるから、注意しようと思ってぇ……」

 栗山先生はたどたどしく言う。まさか受け止められると思わず動揺しているようだ。そんな彼女の指摘に、ケイゴは素直に頭を下げる。

「すみません、気を付けます」

「……え? さ、『』じゃないの?」

 予想もしなかった素直な対応に、栗山は更に呆気にとられたようだ。しかし、気を取り直して再び責める。

「そ、それと。頭髪! 茶は禁止だと、何度も」

「すみません」

「え!? 『』じゃない……」

 怒るつもりで高めていた闘志が肩透かしを食らい、彼女は大げさによろめいた。教壇に肘をつき、肩で息をしている。

「ハァ、ハァ。でも、色を落としていないってことはやっぱり指示に従うつもりは無いようね。素直になったフリもここまでよ」

 息を切らし、それでも不敵な笑みを浮かべている彼女は、最早叱りたくて仕方ないようにすら見える。彼女の情緒は、二日酔いと志村ケイゴによって破壊されていた。

 飲まなきゃやってられない教師の辛さにケイゴは僅かに同情する。当事者として、今まで話していなかった事情を素直に話すことにした。

「先生、これ地毛なんです」

「んなっ! じゃ、じゃあ最初に言いなさいよー! クキェーッ」

 彼女の金切り声を聞きつけて、やはり二人の男性教職員が駆けつけた。片方は若い生徒指導担当、もう片方は中年の副校長だ。二人のネクタイは首の後ろになびいていて、ヒーローが首に巻くスカーフの様に見えた。

「栗山先生、落ち着いて!」

「暴力は行けません、暴力は!」

「邪魔をしないでください、私は真っ当な抗議を彼に……」

 やはり両腕をぶんぶん振り回して抵抗する栗山を、二人は必死に押しとどめる。女性教職員の身体に触れる図はセクハラ問題に発展しそうだが、彼女の荒れ狂うパワーを抑えるのにそんなことは言ってられない。異様な光景を笑うクラスメイト達の中で唯一、今日復学したばかりのタチバナだけは呆気に取られていた。

「楽しくなりそうだな」

 笑顔のケイゴと目が合った。慣れない状況に困惑するタチバナは、彼の瞳の中にいる自分の存在に気が付く。彼はまっすぐタチバナを見ている。いつだって忖度しない彼の正直な態度が、タチバナに見習うべき強さだと思わせた。彼の目に映る私は、せめて背筋を伸ばしていたい。誰に見られても恥ずかしくないように、強くなりたい。ここでなら、彼の隣に居られるなら。自分をもっと強くできるような、そんな気がした。

「はい。……いや、うん!」

 太陽の陽射しが窓際の席を照らしている。現実の光の中で、タチバナは笑っていた。

 

 ☆☆☆☆☆


 正体不明の大きなが恐ろしい怪獣を映し出し、人々の生活を破壊する。

 人々と鏡界獣の戦いはこれからも続く。鏡は今も、この世界のどこかに現れている。なぜ鏡は怪獣を映し出すのか。なぜ鏡界獣は人類の文明を破壊するのか。

 その答えを知る者は居ない。ただ、鏡は忖度なく事実のみを映し出す。文明を破壊しているのは、本当に怪獣なのか。それとも、鏡に映る人間こそが、やがて文明を打ち壊してしまうのではなかろうか。

 それでも抗う者達がいる。絶望に立ち向かい、生き残るために戦う者達がいる。

 未来は無限に広がっている。戦いの末、この星に訪れる結末をだれも知らない。

 富士砕力研究所、その地下十三階。翠の城壁エメライガーは静かに眠り、その時を待っている。

 志村ケイゴと仲間達が共に切り開く未来を。再び心が動く戦いの時こどうを。

 彼はただ、信じている。


                       『城壁のエメライガー』……終。

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城壁のエメライガー レンズマン @kurosu0928

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