迷い家の「＿」・宵

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時刻。

静まりかえった。

後に

あの家での出来事は

なんだったのか

考えてみたことがある。

最初は

『遠野物語』に出てくる

『迷い家』と呼ばれる家と

似たものかと思っていた。

ほら、

山で迷い込んだ家が

すぐに生活出来る状態なところ。

遠野の迷い家と

似てるでしょう。

ああ、遠野は。

その家の物を持ち帰ると

裕福になるんでしたか。

じゃあ。

あの家は、

どうなんだろう。

玄関に留めたままの

ロードタイプの自転車。

乗らなくなって

どのくらい時間がたったのだろう。

何十年も経ったように

あちこち錆びていて

このままでは乗れない。

出られない。

住宅街を抜ける。

人の姿が見えなくなり。

あの店があり。

ここで

もう呼ばれていたのだと。

今なら判る。

店に入って物を食べた。

あの世の物を

簡単に食べちゃいけないね。

わざわざ

話を聞きに来てくれて

ありがとう。

あれから

人に会うのは

久しぶりなんだ。

どうしたの？

お茶も飲まないで。

ＴＶつけようか？

あの時の

映像しか再生されないけど。

今は

音も出るようになったんだ。

画面越しのあなた。

話を聞きに

来てくれたんだろう。

あの後

どうなったか。

まだ話は終わってないよ。