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ドン!



振動と音で

家が揺れた。




TV画面の中。


登場人物が

こちらに指を指したまま

止まる。




背後から

顔に向けて

熱を感じる。



何かが

床に

振ってきた振動。


そして音。



何も落ちて来てはいない。


なにかが落ちて来た振動。

落ちて来た音。

それだけが来た。



感じる熱は

たぶん

体温。


生き物の体温。







TV画面で止まっている

登場人物の指さした、

その指の先。


この生き物の体温を持つ

いないはずの、いるもの。





止まっている

画面の中の登場人物の

口が動いている。

動いていないが、動いている。






生き物の体温を持つ

いないはずの、いるものが

顔の横に


ピタリ


張り付いて。






TV画面の登場人物が

叫んでいる。


ような、気がする。



再生されている。

らしい映像には

最初から音はない。



叫びながら、何度も

指をさし示しー


何度も何度も、

何度も何度も。




見ろ!


それを見ろ!



画面の中の登場人物が

叫んでいる。





顔は

画面に向けたまま


ぐる、り。








視線を。


生き物の体温を持つ、

それに

視線を向けた。












大きな目玉が


見ていた。

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