これまで自分が読んだ、カクヨムの作品の中で、一番長いのが本作(42万文字)でした。
そしてまたファンタジーを読むのも初めての経験でした。
なぜなら自分はファンタジーをあまり得意としない読者だったからです……。
この物語がその既成概念を、門戸を、開いてくれたのかもしれません……!
読んでみて、
「おもしろっ!!! かわいいっ!!!!」
それが答えです(笑
ゆっくりゆっくりと読み進めていきました(多分三週間ぐらいかけて)
古い例えで恐縮ですが、映画ネバーエンディングストーリーで、バスチアン少年が分厚い本を抱えて読み始めた時のような、そんなわくわくが詰まったお話なのです……!!!
読者として自分はふたりとゆっくりと向き合いました。
夜中にふと目を覚ました時、ごはんを食べ終わった時、空を見上げてる時、そういった生活のふとした合間に、
「あれ? あの子たち元気かなぁ?」
と、顔が浮かぶのです。
そしてスマホをひろげて読む。
「ああ、良かった、元気じゃないか」と納得します。いや安心します。
それを繰り返して42万文字を共に歩みました。
読後、
「ああ、きっとあの二人はまたどこかで笑っているんだなぁ」
小さな喪失感と共に、そんな感慨に浸りました。
ものすごく可愛くて手触り抜群、小さく丸いモフモフの魔物。
ただ、戦闘力は0。
襲われても、触角の先のポンポンで、きゅぅと目を覆うだけ。
ああ、もうだめだ、おまえ弱くて、あっさり食われてしまうのかぁ……
それを救ったのが、美しくて強い少女、七海。
彼女はモフモフを救け、ムー太と名付けて胸に抱き、一緒に旅をしてくれることになります。
そう、こんな無力なモフモフ、ムー太でも行かねばならない所が。
波乱万丈のふたりの旅。
人間に狙われるムー太や、人間を襲う魔物。
ふたりと冒険者たちとのかかわり。
しっかりとした設定と確かな筆力で描かれる、可愛くてかっこいい冒険ファンタジー。
さあ、あなたもモフモフムー太を胸に抱き、悪いやつらに無双しながら旅しましょう。
この旅の果てに何があるのか、ぜひ見届けてください!
異世界転移に巻き込まれた少女七海は、転生を繰り返すモフモフの魔物、ムー太と運命的な出会いを果たす。愛くるしいそのいでたち、溢れる愛しさを抱きながらかけがえのない絆で、まだ見ぬ世界を旅する物語。
魔将級をも超える最強ドラゴンを葬り去るその魔力を宿した彼女は、徐々にその力を開眼させていく描写は秀逸。
か弱いムー太を守るため、守護神たる彼女が幾度もの困難に立ち向かうが、最後には空間を超えてムー太と引き離されてしまうハイライトに逸る想いに胸が熱くなる。
七海の言葉を信じて、逞しく前進するムー太は新たなる力で七海との再開を果たそうと、その扉を開ける。
真の友情とは何か。
その問いに答えるべく、ふたりの絆は今日も前を向く。