第3話 交渉
俺達が脱獄して3日目、
俺はアリアに
とある質問をしていた。
「 なぁ、首相って
どこにいんの? 」
[ そりゃあ、総理官邸じゃないですか? ]
「 それはどこにあんの? 」
[ えっと、千代田区……ですかね? ]
「 へぇ……。 」
俺は今日、官邸に行こうと思っている。
何故かって?
俺とアリアには指名手配が出ている。
首相のとこに行けば、取り下げてくれるかも
って俺は考えたわけだ。
[ 聞いてどうするんですか? ]
「 別に、特に意味はねぇよ。 」
嘘なんだよな……
でも、なるべく1人で行きたいし、
誰にも知られたくは無い、
そして、アリアを守りながら戦うなんて
面倒くさいからな。
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今の時刻は午前1時、
アリアは寝てる、はずだ、
やはり俺も心配だったのだろう、
結局、ダブルにはついてきてもらった。
ダブルは常人とはまるで違う、
特殊な人種とかじゃないが、ダブルは
プロの殺し屋、裏の世界で
現役最強の名前を貰ったすごい人なんだ。
ま、俺には勝てないと思うけどな。
「 じゃあ、ここで待機してくれ。 」
〔 了解。 〕
俺はダブルを外で待機させ、
官邸の扉に手をかけようとすると、
〖 ……待っていたよ。 〗
スーツを着た、
紳士な男が先に扉を開け、俺の前に出てきた。
「 流石、総理、
時間ピッタリだな。 」
〖 それは君もだよ、
まさか本当に来るとはね。 〗
この人が日本国の総理、
名前は
浦廻 琳寧 (うらみ りんね)
確か、今26歳で最年少じゃなかったっけ?
ま、だいぶ前に日本国憲法ってのが
廃止になったからな、
総理のあり方も変わったんだと思う。
日本国は総理だけは日本人から
ずーっと変わってない、
まぁ、1回も外国人が総理になったことが
ないってこと。
容姿は緑色の髪で、毛先が青、
能力は誰も知らない、俺だって知らん。
身長は俺よりちょっと小さいぐらいかな?
「 んで、早速本題に入るけど、
俺とアリアって女の
指名手配及び罪を撤廃してほしいんだ。 」
〖 つまり、自由にしろと? 〗
「 あぁ。 」
俺がそう言うと、総理は
笑い出す。
〖 ……ハハハ、
そんなことか、NOに決まっているだろう。 〗
「 ……何故だ。 」
〖 アリアと言う女は罪を調べて判断しよう、
だが、君の罪を取り消すことはしない、
あの日の事を忘れたのか……? 〗
あの日の事を俺は忘れた訳じゃない、
忘れる訳がない。
5月、少し夏が近づいていた。
あの日、世界が一度ゼロになった日。
そこで俺は何も言えず、
黙ってしまった。
〖 本当に君は都合が良いことしか言わないな、
あの出来事があった日から、
君を許すという選択肢は消えたんだよ。 〗
「 ま、別に許されるとは
思ってなかったけどよ、
じゃあ、アリアの件は頼んだぜ? 」
俺はそう言うと、
くるりと背を向け、官邸を後にしようとする。
別にアリアだけ許されれば
後はなんでもいい、俺が許されなくても…。
〖 だが、アリアと言う女の罪が
許されるか分からないぞ。 〗
「 ……そこは総理の力で、
何とかしてくれ。 」
俺は総理に笑って、
扉に手をかける、
すると、
バンッ!
突然銃声のような音が
フロアに響き渡った。
「 ……ぅ、ぇ? 」
俺が頭を触ると、
手に血がべっとりとついていた。
恐らく、何かが頭に当たったのだろう。
〖 総理として犯罪者を見逃す訳にはいかない
それは君も分かっているはずだ。 〗
「 ……分かってるけどよ、
不意打ちはズルくないか? 」
〖 やはり、君は一筋縄には
いかないようだね。 〗
今、総理の手に黒い影が見えた、
まぁ、別に気にしなくても問題ないか、
多分、何かを手から出しているんだろう。
俺は手で血を拭い、
総理の方へゆっくりと体を向ける。
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(※琳寧 視点)
こいつはどうなっているんだ。
僕の能力、
(従者)で、スナイパーを出し、
確実に後頭部に命中させたはず、
だが、こちらを向いて不敵な笑みを浮かべる
余裕がある。
見るからにただの人間のはずなのに……。
〖 あの後、自首したと聞いたが、
そして、その時に封印も施したと。
どうやって封印を解いたんだ? 〗
「 簡単なことさ、封印を解く能力者が居た、
それだけだ。 」
〖 それは誰だ?
そいつも罪に問わなければいけないな。 〗
「 さぁ?
自分で探しな。 」
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( ※ゼロ 視点)
そうして、俺は扉を開ける。
すっかり夜も更けていた。
〖 最後にひとつだけ良いか? 〗
「 あ? 」
俺は総理の方を向く、
総理は階段の上から俺を見下ろしながら
その言葉を発する。
〖 ……僕達、政府と
手を組む気はないのか? 〗
「 ……ないね、
お前らに表と裏がある限りな。 」
そうして、
俺は扉を閉める。
空を見ると赤い月が出ていた。
崩壊したあとの地球は天候などが狂ってしまい
月の色などが、毎日違う。
まぁ、特に黄色い月と変わらないんだけどな。
「 帰るか……、
ハハ……、もう朝だ。 」
俺が帰ろうと歩を進めたら、
日が昇ってきてしまった。
多分、アリア怒るかもな……、
朝帰りとか酔っ払いかよ……。
「 ……ハハハ……。 」
俺は笑うしかなかった。
そして、なるべく急いで、
ダブルの家に走るのだった。
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最強くんは怠惰です。 轟木 うるま @SENDAIsaiki0102
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