第2話 友のもとへ

俺は今考え事をしている。

それは、このデカイ鋼鉄の扉をどうやって

開けるかだ。


まぁ、壊してもいいんだけど、

俺は優しいからな、

看守共の後片付けが楽になるようにしてやろうと考えてんだ。




「 さて、どーすっかな……。 」




[ ……そ、それなんですか……? ]




女は、俺が担いさでいる、

さっき殺した看守の腕を指差して言う。

俺にとっては珍しい事でも

なんでもないから気にしてなかったが、




「 あ? 腕だけど?

フツーじゃね? 」




[ ふ、普通じゃないですよ!?

そ、その腕どうするつもりなんですか!? ]




「 え?

食うしかねーだろ。 」




[ ……えぇぇ!? ]




「 俺は喰種っていう、

人肉が食の基本の人種なんだよ。 」




[ へ、へぇ……。 ]




俺達がそんな他愛もない

会話をしていると、また看守が来た。




『 貴様ら、

何をしている、早く戻れ。 』




「 お、こんちわー。 」




[ か、看守の人……。 ]




俺はヘラヘラと看守に挨拶をする、

女は俺の後ろに隠れる。

何が怖いんだか……、

よく分からん。




『 戻らないのなら、

実力行使しかないが……、 』




そう言うと、

看守の腕から稲妻が走る。


多分、雷とかの能力だと

思うんだけど……、

余裕なんですけど、雷とか俺、効かないし。




「 やってみなよ。 」




俺はまたヘラヘラと笑って

看守を煽るように言う。




『 クソガキが、

後悔しても知らないぞ。 』




そう言って看守は

帯電しているであろう、足で俺にローキックを

食らわせてきた。




「 う‪”、ぁ……。 ‬」




『 どうせ死ぬのだから、

ここで、死んでも同じだろう? 』




皆やられたと思っただろ?

ま、そんな訳ないんだけどな。




「 ん? それが蹴りか?

蹴りってのはこうやるんだよっ! 」




『 あ‪”‬ぁ‪”‬、が……。 』




俺が胴体に蹴りを食らわせると

看守の胴体は横一線に真っ二つに離れた。


床に2つの体が倒れる。




「 靴汚れたじゃねーか、

お前の血液なんて必要ないんだよ。

って、もう聞こえねーか。 」




俺は倒れた2つの遺体の前で

ケラケラと1人で笑っていた。

はたから見たらやばい奴だ、

まぁ、実際やばい奴なんだけどよ。




[ …………。 ]




チラッと女の方を見ると、

床に座ったまま、気絶していた。


そんなに衝撃的だったか?

ま、他の人から見たらそんなもんか。




「 おーい。 」




起きねえ……、

どーすればいいんだろうか、

こうするしかないな、、


俺は女をお姫様抱っこして、

そのまま出ていこうとする。




「 扉……、

壊すか、めんどいし。 」




俺が扉をひと蹴りすると、

8mぐらいにある、鋼鉄の扉が10mぐらい

吹っ飛んだ。


ここから、どこに行こうか、

別に行くとこは無限にあるけど、

とりあえず、都会に行こう。




「 えーと。 」




そして、俺は女を担いだまま

歩き出した。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




数十分後、

俺はある都市についた。


ここはネオトウキョウ、

以前、東京都があった場所に近い場所に

ある日本最大の都市だ。


前の東京より、

何十倍も大きくなって復興したんだよな。


ビルも増えたし、

鉄道も前より増えて、

面倒くささも増した気がするよ。




「 ……そろそろ、起きて欲しいんだが。 」




もう、結構時間経ってるから

起きて欲しいんだよな、

まぁ、重くはないんだけどさ、


新宿とかお姫様抱っこしたまま

歩くわけにいかないだろ?




[ ん〜。 ]




「 あ、起きた〜? 」




[ うわぁ、ご、ごめんなさい! ]




女はそう言って、

俺からいそいそと降りる。




「 ほーんと、

重かったよー。 」




[ む、失礼な人ですね、

女性にそんなことを言うなんて……。 ]




「 冗談だよ、怒んなって。 」




ケラケラと笑って言う、


そんなに怒るとは思わなかったわ、

女って体重とか気にするんだな。

知らなかったわ。




[ はぁ…… で?

どこ向かってるの? ]




「 俺の友達のトコ。 」




[ 誰か分かりませんが、

早く行きましょう、

見つかりたくないですからね。 ]




「 そーだなー。 」




俺達はその後、

スクランブル交差点を通り、

歩いた、ネオトウキョウには

東京都にはない地名が沢山存在する。


普通は元いた場所とかに住むと

思うんだが、俺の友達は色んなとこを

転々としてる、変なやつなんだ。

それもネオトウキョウ中を、




「 着いた、ここだよー。 」




[ ……ここですか? ]




俺達は渋谷から少し行ったとこにある、

天戯区というところにいる。


ここに友達が住んでんだ。

んで、住んでるのは雑居ビルだ。




「 じゃま、するぞー。 」




[ ……お、お邪魔しまーす……。 ]




〔 あ? 誰……、

って、お前かよ。 〕




部屋の奥から、

1人の男が出てくる。


容姿はブロンズの髪に、

少しだけ焼けた肌、身長は180ぐらいの

すらっとした男だ。




「 久しぶりー。 」




〔 お前捕まったんじゃなかったっけ?

まぁ、お前なら、あんなとこ

直ぐに出れると思ってたけどなー。〕




「 分かってんじゃーん。 」




俺はそいつとペラペラと

話をしてしまう。




[ あ、えーと……。 ]




〔 ん? 君は? 〕




[ ええと、アリア・カルエラ です。 ]




〔 俺は

リリアス・マーガレット・ダブルだよ。 〕




「 アリア・カルエラ っていうのか、

知らなかったわ。 」




これからはアリアって呼ぼうかな、

楽だし、わかりやすいだろ。




[ 貴方は? ]




「 俺ぇ?

名前なんて忘れたよ、

テキトーに呼んでくれ。 」




[ 普通忘れますかね……、

うーん。 ]




「 いい感じなの考えてくれよ。 」




[ えぇ……、

うーんと、ゼロさん、とか? ]




「 へぇ、ゼロねぇ、

ま、いいんじゃね、

ってか、何でゼロ? 」




[ えと、何も無いからゼロ! ]




「 なんか、酷い言い方だな……。」




ま、名前ないより、

マシだな……。

……ゼロか、いいな。


俺はなんだかその名前が

しっくり来た、理由は分からないが、




〔 ま、AMSAからも、追われると

思うからゆっくりしてけよな。 〕




「 おう、サンキュー。 」




俺は笑って、

ダブルに言う、ダブルは

多分、台所に行ったんだろう。


そういえば、

AMSAっていうのは


能力管理保安協会の略で、


所謂、能力者を取り締まるだけの

警察官みたいなもんだ。


大犯罪者である俺は、

脱獄もしたし、当然追われるんだ。

あぁ、この女もな。




[ ……ゼロさんって、

何歳なんですか? ]




「 俺? 覚えてねーよ。

覚えても意味ないしな。 」




[ なんか、肝心なとこを色々と

覚えてないんですね……。 ]




……そんな悲しい目で見るな、

こればっかりは本当に覚えてないから

しょうがないんだよ。


しょうがねぇ、

数えてみるか……。




[ 容姿的には20代前半って

とこですかね。 ]




「 えと、、

23歳、だな、

多分だけど。 」




[ やっぱり、

年上ですねぇ……、

私は19歳ですっ! ]




「 ……20代じゃねーのかよ。 」




驚いた。

アウェイキルア収容所に10代が来るなんてな、

普通20代になってから入れるん

じゃなかったっけか?


ま、どーでもいいか。

どーせ、出た訳だし。


はぁ、これからどーなんだか……。







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