最強くんは怠惰です。
轟木 うるま
第1話 強者と弱者の出会い
この世界には能力というものがある。
戦闘向きのものやサポート向きのものまで
沢山の能力が溢れている。
もちろん、犯罪者も現れる。
その者達は、能力を悪用し、
富と名声を手に入れようとする。
俺もその1人だ。
富を手に入れるためには、人殺しも厭わない。
いわゆる、サイコパスと呼ばれる部類なのだろう、俺は。
ここは能力を使った犯罪者の収容所、
特に重罪を犯した者が来る場所。
《アウェイキルア》収容所 だ。
『 No.6283 起きろ! 』
「 …………黙れ。 」
『 っ、お前ェ!! 』
『 ……やめようぜ、どうせ
コイツ、後先長くないからよ。 』
『 ……ま、それもそうだな。 』
俺は死刑宣告を受けていた。
死刑執行まであと3日程度、
この看守の言う通り、長くない。
だから、今更逆らっても
看守達は何も言わない。
どうせ、俺は死ぬのだから。
[ わ、私はえ、冤罪なんです!! ]
『 ……うるさい!
早く入れ! 』
ふと気付くと、新しい囚人が隣に入れられた
みたいだった。
声の感じから女だと思うが、、
[ 冤罪なのに……、、 ]
……バカだ、無意味な事を嘆いている。
この場で冤罪などと言っても、
どうせ聞いてくれるはずがない。
それどころか泣くなんて、、
面白いやつだなぁ……。
「 ……あんた、冤罪なのか……? 」
[ ……え? わ、私……? ]
「 ……バカ、お前しか居ねぇだろ。
自分で冤罪って言ってるくせによ。 」
他の囚人に声を掛けるなんて、
初めてだ、別に他の奴らに興味なんて一切わかなかったからな、心底どうでも良かったんだ。
[ ……そうですよ、
私は冤罪です、でも……。 ]
「 ……へぇ。 」
壁には少しの小さな穴が空いている。
まぁ、人が通れる広さではないのだが、
そこから、女を見ると、
体育座りをして、蹲っていた。
「 ……なぁ、何で逃げ出さねぇの? 」
[ ……そんなこと出来るわけない
じゃないですか……。]
「 ……じゃあ、出してあげよっか? 」
[ ……へ? ]
そう、俺はこんな鉄格子で囲まれた空間
なんて、直ぐに出れる。
……でも、めんどい。
別にこのまま死んでやり直すのも
正直ありかと思っていた。
しかし、こいつに会って気が変わった。
出て真相を探ってみたいと思った。
冤罪が嘘だとしても、こいつなんて
……秒で殺せるし……
「 あんたの能力は? 」
[ えと、対象の物や人に封印をかけたり、
封印を解いたりする能力、ですけど…。 ]
「 ……じゃあ、
俺の封印を解いてくれ……。 」
俺はここに来た時に、
封印をかけられた、それも何重にも
重ねられた。そして、俺の能力は全て
封印で抑えられた。
それが解ければ、
俺は多分、この世界で一番になるだろう。
[ ……それで、ここから出れるんですね…? ]
「 ……あぁ、保証しよう。 」
[ じゃあ……。 ]
女はそう言うと、壁越しに
俺の方を向き、手をかざす。
すると、水色の閃光が放たれる。
俺は縛られている、
紐の結び目が解かれるように、
何かが解放された感覚が全身に稲妻のように
走った。
「 ……ありがとう。 」
俺はそう言うとデコピンで
鉄格子を粉々にし、牢屋の外に出た。
久々の力が溢れる感覚、
気分が高まる。
「 さぁ、一緒に出よう。 」
俺は隣の牢屋の前に行き、
鉄格子を破壊し、中にいる、
女に声をかける。
[ は、はいっ! ]
「 じゃあ、ついてきて。 」
俺は正面から出ようと思ったが、
そう簡単に出してくれるはずもなく、
移動していると、やがて看守達が武器を持って、
俺達の前に立ち塞がった。
『 お、おい!
そこの2人、早く牢屋に戻れ!! 』
「 ……うるさい、
一々、喚くな、ゴミ。 」
俺は看守の耳元でそう囁くと、
看守の頭を掴み、
『 ぁ、ぇ? 』
「 ……死ね。 」
そう言うと、
看守の頭は粉々になり、
床や俺の服などに血が飛び散り、
頭がない体が倒れている。
まさに地獄絵図。
[ ひぃっ! ]
女は悲鳴をあげそうになるが、
自分で口を抑え、何とか我慢していた。
俺は悲鳴をあげる理由が分からなかったが、
先を急ぐように促す。
「 さ、行こうか。 」
俺は微笑を浮かべ、
女の手を優しく引く。
[ は、はぃ……。 ]
途端に女の声が小さくなるが、
俺は特に気にせず、先を急ぐ、
正面の出口まではあともう少しなんだから。
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«ここまで読んでくれた人への
切実な願い»
別作品ですが、
〈面白い!〉〈続き見たいー!〉
なんて思ってくれた人は
好評と応援のコメントお願いしますっ!
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