素顔を隠すもの、それが仮面

ホラーに登場する怪異は、容姿や出自がわからない方が面白い。
以前、そんなコメントを目にする機会があって「そんな物ですかねぇ？」と腑に落ちなかったのを覚えているのだが。この作品にはその意見を裏付けるほどの「説得力」が確かにあった。

外国のホラー映画やゲームだとクリーチャーは暴れてなんぼのものだ。
姿を見せない、正体を明かさないなんて言語道断にも程がある。
されどこれは「日本の怪談」なのだ。
背後からそっと忍び寄り、暗がりからこちらの様子をうかがっているもの。それが日本の怪異なのだ。ハッキリとわからないからこそ、人はあれこれと想像し、恐れおののくものなのだ。

仮面という小道具を題材にした点も素晴らしい。これほどに正体を隠し、謎を深めるのに適したアイテムはまず存在しえないのだから。

正体不明のなにかに「ゾッとする」体験をしてみたい貴方へ、おススメです！