人生は、愛しければ 愛しいほど背中合わせになる

振り返ると一本道を歩いてきたように見えるけど、決してまっすぐでもなければ平坦でもない。なにが正しいのか答えもないけれど、歩いてきた道は自分だけしか歩けない唯一の道だったと思える瞬間が、人生には必要なことを教えてくれる作品。
おしくらまんじゅうをして心温まる、そんな感じがする。

冒頭が、映像的で、コマ割りされた書き方をしていていい。

風菜の母親は、亮と同じ年齢だとすると、四十四歳だと推定される。
四十四歳の大人相手に、十六歳くらいの結野が慰めては励ますところが実に良い。
大人びているどころではない。
かなりの場数を踏んでいる感じ。
そんな結野だから、透き通る写真が撮れるし、流夜は仕事の依頼はするし、それに答える撮影もこなせるのだと思う。

人生はかくれんぼで、三者が描かれいるところもいい。
それぞれ秘密を隠しながら、互いを思いやっている。
離れ離れだけれども、家族なんだと思える書き方がされていて、心温まる。