第2話  マギアの泉

これまで多くの調査が行われてきたが魔女を見つけることは困難を極めていた。


政府は一刻も早く魔女を見つけ出す必要があった。


それは自国の国民を脅威から守るためである。


魔女という不明確な脅威が直ぐ側にある現代において脅威を排除するのは的確だろう


その脅威を排除するための時間がいくらかかっても。



<日米共同研究調査機構>

US-Japan collaboration research institute


通称:UJCR


日本とアメリカが共同で研究・調査を行う機関の名称である。


現代において魔女の脅威は世界に認知されつつある....が


未だに詳細な情報は掴めていなかった。


UJCRが発表したワード。


マギアは直接的ではないが魔女表す言葉となっている。


そして、マギアの泉とは魔女の楽園という意味合いを持っている。


魔女の生態を研究する上でマギアの泉の実態を解明するのは重要になってくる。


現時点でのマギアの泉に関する情報はステージ6の段階まで明らかになっているが、


国民には必要最低限の情報のみ開示されている。


これはマギアの泉がまだまだ予想の域を出ず、不明確な部分が多くあるからだ。


過去の事件で発見された小さな宝玉も未だ謎に包まれている。



記録.....  2020年7月


この夏、都内で不自然な場所ものが発見された。


無数の黒色の物体が浮遊しておりそれはまるで我々を別の場所へ誘っているようにも見えた。


政府はこの物体を<モノリス>(未確認物体)と呼称することとした。


ことの運びはUJCR の調査研究で都内を訪れていた研究員の一人が忽然と姿を消したところから始まった。


GPS で追跡した結果、このモノリスが発見されたというわけである。


これも魔女の解明に役立つかもしれないということで回収されたモノリスは米国の研究施設に運ばれ、極秘扱いの代物となった。


あれは一体どんな物体だったのか....


魔女と関係あるのか.....


それはモノリスを回収した米国の研究施設にしかわからないのである。

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ここは政府管轄の特務機関「MELINORSE」(メリノ−ズ)であり、研究を行うと同時に魔女との交流コンタクトが取れないかどうかを調査している機関である。


世界屈指の研究チームがあり、魔女研究の第一線を担っている。


「この宝玉、何か魔女との関係性は見られた?」


白衣を身に纏いコーヒーカップを手にしながら研究員に質問している少女。


彼女こそが史上最年少で博士となった研究チームの若きエース。


安達鈴花あだちすずか」である。


幼い頃より学本がくぼんを読み漁り、童話のかわりに数学本を呼んでいた神童である。


彼女の専門は「超心理学」


魔女研究は彼女の好奇心を揺らすピッタリの題材だった。


彼女が質問していたのは過去の一家消息事件で現場から見つかった小さな宝玉。


その事件は未解決事件として既に30年も経っていた。


しかも訳の分からない宝玉。


誰が欲しがるだろうか.


研究者以外は....


政府管轄の特務機関だけあって、宝玉の入手は案外簡単であった。


しかし、宝玉がメリノーズ(政府管轄の特務機関)に来てはや半年。


未だに解明できていなかった。


それというのも、この宝玉....


一切の破壊行為が通じないのである。


壊せないから物質の内部構造を調べることもできない。


完全に詰んでいたのである。


誰もが宝玉の研究に行き詰まっていた頃。


若きエース「安達鈴花」がメリノ−ズへとやってきた。


彼女がこの来てからというもの、宝玉の研究はものすごく進歩した。


これまで把握できていなかった内部構造を特殊光波線とくしゅこうはせんにより


今まで分からなかった細かな部分まで把握することができるようになった。


特殊光波線によって判明したの情報は2つ。


一つは内部に特殊なエネルギー原子核のようなものがあること。


もう一つ、宝玉は*タングステンと同等の硬度を誇る薄い外膜に覆われていて中は空洞であるということ。  *世界一の硬度を持つ金属


仮説としてヌーパーツではと考えることもできたが、発見された年代、場所から


その仮説はすぐに否定されることとなった。


そして有力なもう一つの仮説。


「人類以外の手によって作られたものではないか」


具体的には<魔女>とか。


魔女とこの小さな宝玉との因果関係はまだまだ未知数な部分が多く残っているが


若きエース「安達鈴花」の手にかかれば造作もないだろう。


「なるほど...でもこの宝玉はもう少し調べてみる必要があるね」


そう言い残し彼女は自分のオフィスへと戻っていった。


「彼女って結構ミステリアスですよね?」


研究員の一人がふと口に出す。


「思ってても誰も言わないけどな.」


もう一人の研究員がうなずく。


「彼女は史上最年少で博士号を取ったっていう話だ..」

「俺達とは住む次元が違うのさ。」


安達博士は周囲から尊敬されていたが、彼女の功績故に多くの者が警戒していたのもまた事実である。


彼女がいてからこその魔女研究だというのに....


魔女研究は彼女主導のもと、日々進歩している。



それから2年後。


物語は魔女へと視点が置き換わる.......



              次話:「これからの話」

















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魔女の放浪記 黒川宮音 @kurokawa_miyane

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