ノロスケホウホウ

 二つ目は、この辺りに封じられていた【ノロスケホウホウ】である。由来はこうだ。


 安達ケ原にはかつて鬼婆が住んでいたが、如意輪観世音菩薩の像に射たれて後、成仏した。

 しかし鬼婆に殺害された人々の怨念が消えたわけではない。それらは寄り集まって鳥の姿をとって、その後も空を飛び続けていたという。これをノロスケホウホウと呼ぶ。

 ノロスケホウホウは、夜になると梟のような声で「ほうほう」と鳴く翼長二丈ほどの怪鳥で、体表には鬼婆の犠牲者の顔がびっしりと浮かび上がっているそうだ。

 あまりの恐ろしさに遭遇した人間は病むが、鶏を描いた絵馬を神社に奉納すれば姿を忘れて病から快復することができるという。寺では駄目なのは、仏に対処されたのが鬼婆ならこちらは神にということだろう。

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