第20話 エピローグ
ハイキングが終わって数日後、クレオ兄とレイ姉は結婚を前提にお付き合いすることになった。
ハイキングの昼食の時に「アイね、クレオ兄とけっこんする!」
この言葉で、レイ姉がアイに取られたくないと思い、勇気を出して告白したそうだ。
クレオ兄が魔法部隊に入る前に結ばれ、二人は幸せそうにしていた。
ちなみにレイ姉は親父のコネで王都冒険者ギルドに就職することになっている。
親父と爺ちゃんはクレオ兄が研究職に配属されたら、二人の家を買ってやると言っていたが、キロンパパがちゃんとローンを組んで買った方がいいと言って、親父たちを説き伏せた。
理由は借金をして、ちゃんと返した方が社会的に信用されるからだと。
どうしようもなくなったら、惜しみなく援助するから、二人で頑張ってみなさいと言っていた。
さらに、キロンパパは魔法部隊の中でクレオ兄を特別扱いしないでくれと隊長に頼んだそうだ。
特別扱いすると、恨み嫉みに繋がるからだと。本当は親子であることも隠したかったようだが無理だったようだ。
「しかしまあ、お前と親戚になるとはなぁ」
「うん、僕は想定内だったよ。学園も一緒に登校していたし」
「まぁ、クレオなら安心して任せられるしな」
「ありがとう、そう言ってもらえると嬉しいよ」
「心配なのは、前線への配属だな」
「不安が無いって言ったらウソになるけど、クレオなら大丈夫だと思うよ」
「なんでだ?」
「クレオね、僕を超えるよ。五属性持ちプラス錬金術も持っているからね」
「錬金術?」
「そう、武器や防具を加工して、さらにいいものにすることができるんだ」
「それは炎の剣も作れるってことか?」
「そう、一応、即死防止の魔法を教えてね、そしたら彼はもう防具を作ってあるみたい」
「おまえら、バケモンだな」
「まあね。それに
「そんなにできるんだったら部隊長の話くるんじゃないか?」
「きたよ。断ったら、今度は副長にならないかって」
「で、それも断ったと」
「うん。上は、始めから副長にするつもりだったんだよ。部隊長を断ると見越して」
「俺には何だかわかんねえな。まぁ二人で国一つを潰せることだけはわかったけど」
「暴走したとしても彼女が止めてくれるから、そんなこと起きないよ」
「そうなのか、まさか高飛車魔女がキーパーソンになるとはなぁ」
ドンドン
「はーい、どちらさ――」
「ぐすっ、ごめんなさい。うち、お金が必要で……」
◇◇◇◇
「ルイばあちゃん、ソロンばあちゃん、ジャンヌばあちゃん!」
弟から離れ、娘は三人に駆け寄っていく。
初めて母に出会った、あの日。親父、お袋、爺ちゃん、キロンパパ、キロンママと俺で家族会議が行われた。母の話では、父に養ってもらっていたが、つわりが収まる頃に、「最強を目指して旅にでる」と置手紙を残して、何処かに行ってしまったそうだ。手元にあるお金で、生活を続けることは難しいと考え、王都を目指し、ここに来たそうだ。
爺ちゃんは「どの面さげて来てんだ!」と怒っていた。そして一緒に住むことには否定的だった。
親父とお袋とキロンママは怒りを抑え、苦楽を共にしたパーティーメンバーだからと、俺次第で受け入れてもいいと言ってくれた。
俺は正直家族だとは思っていない。
ただ、お腹を痛めて産んでくれたこと、弟か妹かを身籠っていること。実の親である母を悲しませたくなくて、受け入れて欲しいと言った。
(俺は、なんで見捨てられたんだろ)
キロンはその様子を見ていて、その後、俺を強く抱きしめてくれた。俺の視界はぼやけた。キロンの肩が濡れていった。
◇
俺はキロンと結婚し、冒険者をやめた。親父が副ギルドマスターになるので、代わりに新人冒険者の育成をする仕事に就いた。今、キロンは二人目を身籠っている。大変なことも沢山あったけれど
俺は幸せです。
剣聖ってなんなんだよ!俺の周りには、まともな奴はおらんのか フィステリアタナカ @info_dhalsim
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