Silver bullet 357

 対悪魔用特殊弾

 馬鹿どもと交わるな

 蛇(じゃ)の眼


 中二病全開である。中二病についてはわたしは中二病でない奴は創作するなというほどに、中二病的感性の全面的な支持者だ。
 教室でやるなよ(小声)というだけです。

 中二病的要素は特定ジャンルの中、とくに暗黒面との戦いにおいては絶大なる効力を発揮する。
 それは物語のうねりの中で鮮烈に連打されるスタッカートだ。
 主人公の眼は赤く光り、脳内に響く声にのたうち回る。
 すると読者はおのれのうちにある生涯中二病を発動させ、呼応させて、その展開に喝采を送るのだ。
 そう、こういうのが見たかった! と。

 1974年公開の映画「エクソシスト」が好きなのだが、あの映画になぜあれほどに魅了されるのかといえば、不可解な悪魔憑き事件を扱いながらも、そこに何ともいえぬ侘しさ、寂しさが全編に刷かれているからだ。昼なお暗い森林の中で細々と人が営むしかなかった中世暗黒時代の趣きそのままに、登場人物は現代の都会の中に居ながらも薄闇の中に頼りなく存在しており、一寸先は闇だった。
 その闇の濃さを、中二病者たちはこよなく愛す。

 当然のようにこの話の主人公たちもまた、現実と異界との狭間を行き来する闇の通路に佇む中二病の体現者である。
 虎馬(トラウマ)と特殊能力は彼らを孤独にするが、人が見えぬものを見て、聖句を唱える仲間を見出すと急速に惹かれ合う。
 不治の中二病を患っている読者がこの作品に魅せられていく理由としては、「そこに中二病があるから」という理由だけで十分だ。
 美少女やちょっと癖のある若者と夜の街を駈け抜けて、銀の銃弾を魔物に対してぶっ放してみたいではないか。

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 委員長キャラ、辰巳真白。壱級祓魔師。
 ホワイトな不良、犬塚賢吾。弐級祓魔師。

「現場ではわたしが上官ですから!」
「お前の指図は受けねえって云ったろ!」

 彼ら、祓魔師(エクソシスト)。
 魔障反応のあるところ、エクソシストは駈けつける。
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 白の墓石を背景にしたこんなアバンタイトルで始まるアニメのオープニングを観たくなりませんか?
 わたしは、なります。

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