歪な愛の片鱗

目が覚めると知らない男の腕の中だった──。
男は彼女を「ナツ」と呼ぶが、彼女は男の名前を思い出せない。否、自分の名前すら思い出せなかった。
自分さえも曖昧な中、ナツは日常を取り戻すために男と暮らしていくことを心に決める。
そんなある日、男の部屋の掃除をしていたナツはたまたま目に留まった銀色の空き缶の中を確認してしまう。
そこには自分の姿が写された無数の写真が入っており、どの写真も盗撮したかのように遠くから撮られていた。
不信感を抱いたナツは、男に写真のことを問いただすのだが──。
一人の男が生んだ歪な愛の物語が幕を開ける。