雪の音
羽入 満月
雪の音
雪が降る。
全ての音を飲み込むかのように静かにふわりと。
たまに巻き上げられた雪が、ふわりふわりと空を舞う。
見上げた空は微妙な灰色。
どんよりでもなければ、真っ暗でもない。
私の心模様と一緒かも。
ついたため息は、白い息となって消えていく。
誰かに気付かれることもなく、静かに空気に消えていく。
立ち止まって手を開いて少し待てば、雪の結晶が一瞬見えてぷくりと水玉に変化する。
雪の結晶は一つとして同じ物はないというけれど、あれは本当なのだろうか。
まぁ、検証する気はないけれど。
「私も飛ばされて、消えてしまいたい」
その言葉だけが消えていく。
風が吹く。
雪が舞う。
雪はまるで私から逃げていくように隣を滑るように吹き抜けていく。
私のことなんて気にしない、あの人たちと同じように。
いくら手を伸ばしても、声を上げても無視される。
無視されるどころか暴言を吐かれる位なら、私は人形でいることを選ぼう。
何も感じない、何も考えない。
ただ淡々と同じ毎日を繰り返そう。
それが一番の平和だから。
どこかで小さな子どもたちね笑い声が聞こえる。
あまり雪が降らない地域だから、珍しさに喜び勇んで走り回っているんだろう。
それに交じって喜ぶほどの年でもないし、雪なんて迷惑だと眉を顰める大人ほど、雪に悪い思い出もない。
楽しそうな声を聞きながら、私は再び歩き出す。
私は笑うことを忘れた人形だから。
怒ることも忘れた人形だから。
感情はもう、持ち合わせない。
いくら私が願っても、
頬についた雪が一つ、
くるくると足元で戯れる雪たちは、再会を願ってくれるのだろうか。
「さよなら、またどこかで」
なんて言ってみたものの、私のことは置き去りでしょう。
だってほら。
私の隣には誰もいない。
雪の音 羽入 満月 @saika12
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