第9話 おまけ~登場人物解説&史実との対照~
注意!!! 本編のネタバレを含みます。本編読了後にお読みいただくことをお勧めします。
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●パトリシア=プラム
本作の
治癒魔法の才能があり、離婚後は神殿で傷病者の治療と貧民救済に尽力する。
そんな中、かつての幼馴染・タリアン=レロイと再会。愛を
しかし、第一次アンゴルモア戦役(
史実よりももうちょっと長生き。
≪史実では≫
離婚後、どのような生活を送っていたのかははっきりしないが、少なくとも他の男性と再婚した形跡はなく、おそらく仏門に入っていたのではないかと思われる。
しかし、モンゴル帝国の第一次侵攻(1257~1258)に際して手柄を立てた
●タリアン=レロイ
本作の
女王だった頃のパトリシアの「御学友」の一人で、パトリシアの初恋の男性。知勇共に優れ、人となりは温厚で誠実。でもやる時はやる。
亡き妻の忘れ形見である一人息子クリスをパトリシアに救ってもらったことから、幼い頃の恋心を再燃させるも、シュラウドの干渉を恐れる彼女に対し、あと一歩踏み出すことが出来ない。ヘタレと言うなかれ。
アンゴルモアの第一次侵攻の際、ビェルゲンからの撤退戦において
戦後の論功行賞で勲功第一等とされ、褒美としてパトリシアとの結婚を願い出る。
アンゴルモアとの和平交渉などの難題も無事こなし、晴れて夫婦となる。
≪史実では≫
モンゴル軍の第一次侵攻の際、
戦後の論功行賞で勲功第一等とされ、褒美として
戦後のモンゴルとの和平交渉に際しても、使者の一人となった。
●シュラウド=チャリオン
本作における主人公たちの敵役。カイン王の父の従弟。プラム朝の外戚の立場から、幼いパトリシアを女王に擁立し、
その際、前国王サミュエルを死に追いやり、その妻であり自身の従妹でもあるレティシアを我が物とする。
性格は冷酷非情だが、政治家としての能力は極めて優秀で、
≪史実では≫
その際、
政治家としては非常に優秀。実子に関しては記録が見当たらない。70歳まで生きて、どうやら天寿を全うしたらしい。まったく、現実ってやつは。
●カイン=チャリオン
叔父のシュラウドに擁立され、チャリオン朝初代国王となる。パトリシアを妃としていたが、シュラウドに命じられるままに、彼女と離縁しその姉であるシフォンと再婚。パトリシアとの間には子は出来なかったが、シフォンとの間にはホアン王子をはじめとする子供たちをもうけた。
決して無能ではないが、シュラウドの完全な操り人形。我が子ホアンにクーデターを起こされ、強制的に退位させられる。ざまぁ。
≪史実では≫
本作における最大の被害者(笑)。実際には初代皇帝として国の
とは言うものの――。
史実では息子の
●エイミー
神殿に入り神官となったパトリシアに付けられた神官見習いの少女で、実はシュラウドのスパイ。
下級貴族が側室に生ませた娘で、実家のしがらみでパトリシアを監視する役目を負わされ、最初はパトリシアのことを聖人ぶった世間知らずのお嬢様と見做して内心で嫌っていたが、次第に感化される。
ファンドールが担ぎ込まれた時に治療の手伝いを拒んだのは、シュラウドを
フェイスには初対面時の悪印象から最初は嫌われていたが、次に会った際に謝罪したらあっさり許され、あまつさえ惚れられてしまって困惑するも、まんざらではなかった様子。
還俗してフェイスの妻となり、内助の功を発揮する。
≪史実では≫
架空の人物。太宗に離縁された後の仏金にも当然お付きの者はいたはずで、それが陳守度の息がかかった監視役でもあった、というのは十分あり得る話だと思うが、さすがにそれを裏付けるような史料は残されていない。
●ファンドール=チャリオン
カインの兄であるリューエルと、パトリシアの姉であるシフォンとの間の子。幼い頃はやんちゃ坊主だったが、成人後は知勇兼備の名将となり、対アンゴルモア戦でもめざましい活躍を見せる。
ただし、やんちゃな面も健在で、幼馴染で恋仲だったシータ王女に対し、婚約者がいるにもかかわらず夜這いを掛けて既成事実を作ってしまう。
そのせいでシュラウドに謀殺されかけるが、パトリシアの懸命の治療のおかげで一命を取り留めた。
ホアン王子によるクーデターの首謀者。新王ホアンの
第二次、第三次のアンゴルモア侵攻に際しては、総大将に任じられ、苦しみながらも敵を撃退し国を守り抜いた。
≪史実では≫
王室の女性(史書には「太宗の妹」とあるが、娘との説が有力)・
第二次、第三次のモンゴル(
ベトナム史上屈指の英雄の一人である。
●シータ=チャリオン(作中では言及のみで登場は無し)
カインが側室に生ませた娘。ちなみに、その頃はまだパトリシアとは「本当の夫婦」になっていなかった。中々のクズや……、こほん。
従兄のファンドールのことを前々から慕っていたが、シュラウドの意向で王族内の有力者ジンド公の息子・フェイスとの婚約が決められてしまう。しかし、ファンドールが夜這いを掛けてきたのを受け入れ、無事結ばれる。
その後一悶着ありつつも、正式に結婚が認められ、幸せな生涯を送ることとなった。
空から降ってきたり、物体を宙に浮かせる青い石を持っていたりはしない。
≪史実では≫
史書では太宗の妹と記されているが、娘との説が有力。でないと
帝室内の有力者である仁道王の子・忠誠王と婚約していたが、夜這いを掛けてきた
●シフォン=プラム=チャリオン
パトリシアの姉。カインの兄・リューエルの妻だったが、夫の子を身籠っているにもかかわらず、離縁させられカインと結婚させられて、リューエルが反乱を起こすきっかけとなる。
リューエルとの間にファンドールら、カインとの間にホアン王子らの子供たちをもうける。
おとなしい性格で、運命に流されて生きてきたが、母がシュラウドにぶたれた際には一世一代の気概を見せた。
史実よりは少し早生まれかつだいぶ長生き。
≪史実では≫
順天公主 1216~1248
なお、陳国峻の生母ではない。
太宗との間に、のちに陳朝第二代皇帝となる
●レティシア=チャリオン
パトリシアたちの母でサミュエルの妃だったが、夫を殺され、従兄でもあるシュラウドの妻とされる。
アンゴルモア侵攻の際、王都ハーノイを放棄するにあたって、王族や貴族の子女のみならず、王都の市民たちの避難も誘導し、食糧や財宝の類まで運び出させて、アンゴルモアの手に落ちないように図った。地味に作中MVP。
≪史実では≫
霊慈国母 ?~1259
仏金の母。恵宗の妃だったが、夫を殺され、又従兄でもある陳守度の妻とされる。
モンゴル侵攻の際、首都
●フェイス=チャリオン
王族内の有力者ジンド公の次男。
カイン王の庶子であるシータ姫に初めて会った時に一目ぼれする。チョロい。
彼女との婚約話が持ち上がって歓喜するも、シータ姫にはすでに
エイミーに対し、初対面時にはファンドールの治療を拒んだため印象は最悪だったが、次に会った時に謝罪され、あっさり許す。そして何度か会ううちに、すっかり惚れこんでしまう。チョロすぎる。
タリアンの公開プロポーズ時に真っ先に拍手したのは、純粋に二人のことを尊敬していたからで、全く他意はなかった。
無理を押し通し、エイミーを正妻として迎え入れる。
結婚後は、しっかり者の
第二次アンゴルモア戦役に際しては、同時期にアンゴルモアの侵略を受けた隣国チャパム王国に特使として赴き、長年確執のあった同国との同盟締結という大功を立てる。
ちなみに父親のジンド公は、政治スタンスとしてはシュラウド寄りであり、したたかな政治家でもあるのだが、人が良すぎる次男坊に対しては少々甘い。
≪史実では≫
忠誠王 生没年不詳
帝室内の有力者である仁道王の子で天城公主の婚約者だったが、陳興道に婚約者をかっさらわれる。その後の消息は不明。和解してともにモンゴルと戦った……のだといいのだが。
まさか、七百数十年後に異国のWeb小説で
●ハーヴォン
ベルトラムの将軍。下級貴族の出身だが、近隣諸国との紛争において軍功を重ね、将軍にまで成り上がる。リューエルが起こした反乱を鎮圧した立役者でもある。
勇猛で有能な武人だが、生き残るためには手段を選ばない一面もあり、政界で生き残るためには、たとえ腰巾着と
しかし、パトリシアと関わり合ううちに次第に感化されていく。
ちなみに、パトリシアの様子を探りに行ったのは、自身の判断である(シュラウド的には、すでに彼女の側に
第一次アンゴルモア戦役において、政治的立場は違えど優秀な武人として将来を期待していたファンドールを、シュラウドが私怨から使い捨ての駒にしようとしたことが、彼から心が離れる決定的な要因となる。(ただし、作戦上誰かを犠牲にせざるを得ないという認識もあったので、異は唱えなかった。)
タリアンの公開プロポーズに賛意を示したことがシュラウドの不興を買い、中央から遠ざけられる。
しかしそのことが、ファンドールたちがクーデターを企て、成功させた原因の一つとなった。
シュラウド亡き後はホアン王に呼び戻される。
第二次アンゴルモア戦役に先立って他界したが、彼が鍛えた将兵はベルトラムの勝利に貢献した。
≪史実では≫
架空の人物。名前は対モンゴル追撃戦で武功を挙げた
以上です。小説家になろうで『越南元寇録』といった作品も投稿していますので、ご興味がおありでしたら是非^^
ベルトラム王国物語~七歳で女王に立てられ、八歳で結婚相手に王位と国を譲らされ、父を殺され、母を奪われ、挙句に十九歳で子供ができないからと離縁されました。こんな私でも恋をしてもいいですか~ 平井敦史 @Hirai_Atsushi
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