応募作の中で一番個性的な一作。王道であるけれど非凡。

恋愛信号管理局というアイデアと名称が好きです。モテを希求するサークルや部活に『恋愛感情の通信仕様をつぶさに読み解き、それらの信号を高精度かつ高効率に自らへ誘導する技術体系を確立すること』という妙な理屈づけをするおかしみが遺憾無く発揮されています。文章は若干読みづらさが先立つのですが文体に個性があり、二人のやり取りや地の文を読んでいるだけで楽しいです。恋愛信号を解析する話だけで連作短編に出来そうなポテンシャルがあります。「私ともジタバタしてほしい。蒲生さんとなら、きっと素敵なジタバタになると思うの」など、決め台詞にセンスがあるからこそ完成度の高い物語になっているんじゃないかと。モテを目指す部活をやっていた二人がいつの間にかくっつくのはみんなが期待する展開であり、ちゃんと嬉しくさせてもらいました。


(カクヨム公式自主企画「百合小説」/文=斜線堂有紀)