現代における『夜と霧』

私が思うに、

パンドラの罪で最も重いのは、
匣を開けたことではなく、
最後に希望を出してしまったことだ─────

とある物語の中で語られた、印象的な一節です



明けても、夜
暮れても、闇
伏しても、眠れず
そしてまた目覚めた朝の空には、霧がかかっている………

綴られた物語は、現代人の抱えている
悲しくも共感できる、小さな物語が散りばめられている

誰にでも思い当たることがありながら、
いや、それが為にだろうか
よくある話と、見過ごされてばかりいるような気がする

苦しみの軽重など、計ることに意味などあるのだろうか
今を生きる人にとって
それは、収容所を生き抜いた
ヴィクトール・フランクルの
苦難とも比するものなのかもしれない。

いや………流石にそこまでは

そう思っただろうか、
だが、そう思えばこそ
この言葉の意味が染みてくれるだろう
あの地獄の中で、
それでも人生に「YES」と云おうと
答えを出した、フランクルを思へば────


人生が、自分に何を与えてくれるかではない
人は、人生に問われている存在なのだと

あなたが人生に絶望しようとも
人生は、あなたに対し決して絶望しない

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