撮る子の虜

　叔父さんから貰った一眼レフカメラ。
　少女は新しい趣味にハマり、没頭している――被写体は『がんばる人』だ。

　彼女が魅了された『彼ら』は、決して妥協せず、理想を求めて努力を続ける。誰になにを言われても、曲げもせず、折れたりもしない――自分の中に真っ直ぐな芯がある。強い心がある――。
　そんな彼らの勇姿こそ、彼女が撮影したい被写体だった――最高の作品になるはずだ。

「あの、撮るのをやめて。ここ、僕の庭で、プライベートな部分だし……」
「いえ、引きません。あなたたちを見続けたからこそ――ここで折れるわたしじゃない！！」

　撮る子は諦めない。
　だって――、

　だって彼ら『撮り鉄』だって、どんな状況でも、理想を諦めたりしないでしょう？