大文字伝子が行く158
クライングフリーマン
頼もしいルーキー
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
須藤桃子医官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
金森和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
日向さやか(ひなたさやか)一佐・・空自からのEITO出向。伝子の影武者担当。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向。
江南(えなみ)美由紀警部補・・・元警視庁警察犬チーム班長。EITOに就職。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
青山たかし元警部補・・・以前は丸髷署生活安全課勤務だったが、退職。EITOに再就職した。
渡伸也一曹・・・陸自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当の事務官。
草薙あきら・・・警視庁からのEITO出向。特別事務官。
天童晃(ひかる)・・・EITO東京本部剣道顧問。準隊員待遇。闘いに参加することも。
須藤桃子医官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
高坂一郎看護官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
本郷弥生二佐・・・EITO大阪支部勤務。
本郷隼人二尉・・・EITOシステム部。弥生の弟。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。時々、伝子から「クソババア」と言われる。
物部一朗太・・・伝子の大学の翻訳部の副部長。故人となった蘇我義経の親友。蘇我と結婚した逢坂栞も翻訳部同学年だった。
物部(逢坂)栞・・・物部の妻。蘇我が亡くなってから一人だったが、物部と今年、再婚した。
依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。やすらぎほのかホテル東京支配人。
依田(小田)慶子・・・ある事件で依田と知り合い、結婚。やすらぎほのかホテル東京副支配人。
福本英二・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。大学は中退して演劇の道に進む。今は建築事務所に就職し、演劇活動は休止している。
財前一郎・・・故人。かつて、伝子と闘った、「怪人二十面相」。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
=EITOガーディアンズとは、エマージェンシーガールズ後方支援部隊である。=
午前9時。蘇我の眠る墓。
墓参りにやって来た、伝子、高遠、物部、栞、依田、福本。
隣の墓のお参りをした、和服の女性が6人に黙礼をして去って行く。
思わず、黙礼を返した伝子達だったが・・・。
「あっ!!」と、伝子は真新しい、隣の墓の墓碑銘を見て叫んだ。
「どうした、大文字。」と、物部が尋ねると、「みんな、この名前に覚えはないか?」と伝子は言った。
暫くして、高遠が言った。「怪人二十面相こと財前、か。これって、偶然かな?」
「偶然では無いようですよ。」と、住職がやって来た。
「3ヶ月位前だったか、財前さんのお身内の方がご挨拶に見えましてね。墓仕舞いされた、前のお墓を譲り受けて、いずれ亡くなる財前さんのお墓を建てることになった、と。」
伝子達は、手早くお参りを済ませると、住職に請われて庫裡に移動した。
「財前一郎さんは、末期がんだったとか。それで、没後のことを姪御さんに託していたそうです。蘇我さん達のクラブのこともよくご存じで、是非、没後は隣に並びたい、と、おっしゃっておられたとか。」と、住職は説明した。
「知らなかった。事件の後、接見に行ったが、これきりにしてくれと言われたから、行かなかった。でも、クラブのこと、あれこれ話してやったら、とても喜んでくれてね。『先輩、先輩』ってヨーダ達のように言って。」伝子は淋しそうに言った。
「怪人二十面相だなんて名乗って、先輩を振り回して・・・でも、末期がんだったって後から聞いて。『幻の後輩』って副部長が言いましたよね。」と、依田が言った。
「ああ。今度からは、蘇我の墓参りだけで無く、『幻の後輩』の墓参りもしようぜ。」
「それが、いいわ。あんたもたまにはいいこと言うのね。」と栞が言い、「たまには、は余計だろうよ。」と、物部は膨れた。
午後1時。EITO本部。会議室。
ディスプレイにオクトパスのTick Tackの画像が流れた。
《
ごめん、ごめん。3人でいいって言ったのに、ウチの『枝』はおっちょこちょいが多くてね。でも充分遊べたよね。死人無し。いいゲームだったよね。
2回戦はさ、『おいたしちゃダメでちゅよ』って言っとくから。またねー。
》
理事官は、高坂看護官が差し出した、胃薬と水を飲み、深呼吸した。
「後で、血圧も測ってやれ、高坂。」と須藤医官は言った。
夏目警視正が声を上げて、言った。
「さて、諸君。待望の新人だ。自己紹介しろ。」と、夏目は退いた。
「仁礼らいむ一曹です。大叔父に懇願して、EITOに出向が決まりました。」
仁礼の挨拶に、「仁礼は、仁礼海将の大姪だ。だが、大文字君、遠慮は要らんぞ・・・って、遠慮なんかしないか。」と理事官は言った。
「財前直巳です。直巳は、冒険家植村直己さんの名前から取ったそうです。隊長、今朝ほどは失礼致しました。お目にかかれて光栄です。昨年は、叔父がご迷惑をおかけしました。」
「構わない。財前は『幻の後輩』だ。今でもそう思っている。自衛隊に入る時、財前に相談したのか?」「はい。自衛隊に入るのなら、EITOを志願しろと言われました。『幻の先輩』が隊長だから、と。」
「分かった。理事官。頼もしい新人です。嬉しいです。増田、馬越。教育がかりをしてくれ。」
伝子の言葉に、「了解しました。」と二人は揃って応えた。
午後3時。久保田邸。
「ふうん。仁礼海将の大姪は驚かないけど、あの財前の姪が入隊するとはね。」と愛息健太郎にミルクを与えながら、久保田警部補は言った。
「『幻の後輩』『幻の先輩』か。実は、何度か大文字君に接見の手配を頼まれたんだが、その都度財前が断って来たんだ。まあ、犯罪者には違いないからな。引け目もあったんだろうよ。」と、久保田管理官が言った。
「おねえさまの寵愛がまた減るわね。」「寵愛?あっちゃん、まさか・・・。」
「知らなかった?なぎさだけじゃないのよ、バイセクシャルは。」「えーーーー。」
「冗談よ。健太郎。パパは真面目でちゅねー。」と、あつこは健太郎をあやした。
午後3時。伝子のマンション。
「幻の先輩、後輩ねえ。現実の先輩後輩も多い伝子だけど、そういうのもありなんだ。」
「お義母さん、そんなこと言うとまた、伝子に『帰れ、クソババア!』って言われますよ。」
伝子がトイレから出てきた。「何か盛り上がってる?いや、焦げ臭い。」
高遠が、慌てて網焼き器から魚を出した。「ちょっと、炭素が多いかな?」
「天童さんに、あの事件の時の身内が入隊したって言ったら、『是非鍛えさせて頂きます』って言ってたよ。」と、伝子が言うと、「そう言えば、天童さん達、欺されて伝子と闘ったんだよね。」「うん。天童さんが一番手強かった、実は公民館の畳が古くて脆くなってた所があったんだ。勝ったのは、天童さんがよろけたからだよ。」と、伝子は笑った。
午後4時。ウーマン銭湯。
財前と仁礼は、2人だけでやって来た。
厳重なチェックが済み、洗い場でお互いを『洗いっこ』をした。
「いつも予約で一杯って聞いたけど、簡単に入れたね。暇な日なのかな?」
財前が言うと、「本当の開店は5時なんですけどね、DDバッジを着けていらしたから、EITOに連絡して確認しました。『今日だけ』貸し切りね。臨時の店長をしている、中丸と申します。」と、従業員出入り口から入って来た女性が言った。
「これは失礼しました。」と二人が出て行こうとするのを、中丸は笑って止めた。
「EITOにも大文字さんにもお世話になっております。たまにはサービスさせて下さい。それから、バッジは目立たない場所に着けるように、と伝言を預かりました。」
「恐縮です。」二人が最敬礼するのを見て、中丸は、「どうぞ、ごゆっくり。と言っても5時から予約客が街って来ますが。」と、言って、また出て行った。
「隊長に叱られるかな?この後どうする?居酒屋にでも行く?」「いいね。そう言えば、EITOの隊員は飲まない人多いらしいね。まあ、いつ出動になるか分からないから、飲んでる暇ないのかも。」
「そうね。私の部隊でも、みんな飲まなかった。規則以前の問題なのかも。」
二人は笑った。
午後5時。
ウーマン銭湯を出た二人は、隣町の居酒屋に行くことにした。ウーマン銭湯に行く時は、実は増田と馬越がバイクで送ってくれたので、どの道帰りはタクシーだ。
「キャー!!」女の悲鳴が聞こえた。
二人は、顔を見合わせ、悲鳴の声の元に走った。
路地で、震える女性が倒れていて、側にコートをはだけた全裸の男がいた。
財前は、つかつかと寄って行き、男の股間の『お宝』を握って言った。
「粗品ね。」仁礼も、それに習って、お宝を握って言った。「粗品だわ。」
そして、二人で男の股間を蹴った。男は、もんどり打って倒れた。
財前は、DDバッジと長波ホイッスルを出して、「この場合、どっちかな?」と首を捻った。
「この場合は、スマホで本部に連絡。もうちょっとだったけど、及第点あげる?」と増田が振り返って馬越に言った。
「そうね、警察の事情聴取出来たら、合格にするか。大丈夫?」と言い、襲われた女性を気遣った。
「ありがとうございます。あの、警察の方ですか?」「まあ、いいじゃない、細かいことは。」
パトカーがやって来た。
「痴漢だって?取り調べは私が・・・まあ、可愛い。」と、みちるは言った。
午後7時。伝子のマンション。
みちるの報告を受けて、高遠と伝子は爆笑した。
「増田さんも馬越さんも心配だったんだね、結果オーライかな。」と高遠が言うと、「そうだな。店長に頼み込んだのも、様子を伺っていたのも、責任感が大きいからだろう。居酒屋に行くことは、みちるが勧めたのか?」「うん。今の内だと思って。いけなかった?おねえさま。」
「学。私の『妹』は皆優秀だ。」「知ってる。その『おねえさま』がもっと優秀なのもね。」
「もっと優秀なのもね。まだラブラブね。」トイレから出た綾子の嫌味を、電話の向こうの、みちるが笑った。
翌朝。午前6時。
オクトパスからまた、Tick Tackに「課題」が送られて来た。
《
やあ。じゃ、次の課題はねえ。「女だけ」。
簡単でしょ。
》
午前9時。EITO本部。会議室。
ディスプレイにTick Tackが映し出されていた。
「大文字っ!!」「はい。こいつとの決戦の時は私を呼べ。」「・・・。はい。」
須藤医官は出て行った。幸田は慌てて後を追った。伝子も皆も呆れて見ていた。
「トラウマでもあるのかな?また訳の分からないこと言って来たな。」
「ウーマン銭湯!!」と、仁礼と財前は叫んだ。
―完―
大文字伝子が行く158 クライングフリーマン @dansan01
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
時をかける真凄み/クライングフリーマン
★6 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
は、は、はっくちん!!/クライングフリーマン
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます