概要
鶴を逃して、雪に変えて
あいつが死んでも、あたしは相変わらず自分勝手だった。
余命わずかな親友フユカと閉店直前のファミレスをめぐる、一人残されたナツキの独白。
余命わずかな親友フユカと閉店直前のファミレスをめぐる、一人残されたナツキの独白。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!忘れること。―――そして、忘れられてしまうこと。
スノードームに入っている水は、時間と共に減っていく。あの完成されたドーム状の美しい世界から蒸発してどこかに行ってしまう。そうしていつしか、わたしたちはスノードームに触れることもなくなって、買ったことも忘れて、雪は底で眠って二度と舞い上がることもなくなる――思い出とはスノードームのようなものだろう。
この作品は、そういう『忘れてしまうこと』と『忘れられてしまうこと』を二つの側面から最高純度で書いている。忘れてしまうということは生きるということで、忘れられてしまうのは死ぬということ。だけど忘れられるスノードームにもスノードームとしての最期があって、思い出を忘れて生きていく人にも、空いてしまった…続きを読む