第71話
一周目のときとは段違いでクラスでも友達がたくさんできた。あの野添くんは別クラスだったけどバイト先で仲良くなって今はもう親友だ。
遠藤や皿元とも仲はいいけど、やはり彼女らは陽キャギャルルートを通るようで少しだけ違うなって感じ。でも皿元は大輝と付き合わなかったお陰かもう幾ばくかおとなし目なところに好感が持てる。
「何を優里のことじっと見ているのよ? 浮気? 浮気なのっ」
「……そんなわけないだろ。僕には和泉しかいないよ。ああ、でも束縛が酷かったらもっとおとなしい……そうだな、花楓みたいな子もいいかもしれないな」
「ウソっ、駄目だよ! カエデちゃんは駄目! 絶対に両思いになっちゃうからゼッタイに誠志郎くんは手を出しちゃ駄目!」
「手を出すとかひどい言い方だなぁ。そんなコトしないよ。花楓には僕よりももっと包容力のある男子のほうがいいと思うよ」
僕は中身が年を取っているから一見して包容力があるように感じるかもしれないけど、元はと言えばただの陰キャだ。いろいろあってやっとここまで来ただけ。
それに僕には二度も生死を共にした運命の人っていっても過言じゃないほどの女の子が既にいるからね。
そういえばあの事件の更にあと、津鬼崎の件から半グレの悪行が芋づる式に発覚してグループは壊滅。首謀者の一味も殆どが逮捕され今や大半が収監されている状態みたいだ。怪我の功名じゃないけどなんか上手くことが運んだみたいで僥倖ったらありゃしない。
花楓のことも和泉がちょくちょく観察しに行っていたみたいだけど、第一志望はうちの高校で間違いないみたい。受験の時あとをつけてうちの高校に入っていくのを確かめたんだってさ。普通そこまでするかね?
まぁ来年度は花楓も同じ文芸部に入るはずなので、今からそれが待ち遠しいのには違いない。
「そんなこと言ってまたカエデちゃんの事考えているんでしょ? わたしという彼女がいるんだから他の女の子のことは横においておいてよ」
すべてがクリアになったところで僕は和泉に告白した。もちろん即OKをもらったよ。和泉が僕のことを想ってくれていることは最後の方になってやっと確信できた。
それまではただの友達の延長としか思えなかった。というか、勇気がなくてそこ止まりのことしか考えられていなかった。それが両思いだって分かった途端僕は我慢できずに告白したんだ。なとも単純で情けないとは思うよ。
「僕が甘えん坊でヤキモチ焼きな和泉のことを放っておく事ができないのを分かってるでしょ?」
「……えへへへへ。誠志郎くん、好きっ」
「あのさぁ、いずみんたちはここ学校だって分かっている? ラブホのピンクいお部屋じゃないんだからね? ほんとバカップルってあんたたちみたいなこというんだろうね」
遠藤と皿元に白い目を向けられる。そういえばここは教室だった。学年末試験も順調に終わって気が抜けていたから余計に忘れがちになっていたよ。
「もう春だからっていっても、あなた達の頭の中は年がら年中お花畑にいるみたいなんだろうね。春爛漫って感じかなぁ」
「うぅぅ、茜ぇ優里ぃ。反論の余地もござませーん」
「今にもおっぱじめそうだからこっちも困るんだよね。佐野もそこんところ分かってる?」
「遠藤はいちいち下ネタ入れなくてもいいからな。さすがに僕らもそこは場所をわきまえるから」
「やっぱり場所さえ整えばおっぱじめるんじゃん。よっぽどあんたのほうが下ネタだよ」
「えっと、面目ない……」
そこはもう長い長い時間を経て恋人同士になったのだから許してほしい。言えないけど。
毎度おっぱじめてしまうアレについては過ぎた
うん、言わなくていいことはお口チャック。
4月。
僕と和泉はその時が今か今かとソワソワしながら待っている。
予定ではあと2~3分と言ったところか。
「未だかな」
「もうすぐだよ」
「ねえ、足音!」
「しっ! 静かに、あと変なこと言わないように!」
カラカラカラ。図書室の引き戸が開いた。
「あ、あの……文芸部ってこちらで良かったですか?」
「はい! いらっしゃい」
「えと、1年の海凪花楓です。にゅ、入部希望です」
「「おかえり!」」
※終幕
長い事ありがとうございました。ここに最後まで書ききったことを報告できて良かったです。
また次の機会有りましたらよろしくお願いします!
タイムリープから始まる僕のやり直し計画 403μぐらむ @155
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