最終話:伝説の恐怖

ある日、町の若い探検家が、おばあちゃんの家の伝説を聞きつけました。彼は興味津々で、不気味なカメラの噂を確かめるためにその家に向かいました。


探検家はドアを開けると、おばあちゃんの家の中に薄暗い光が差し込むのを見て、心臓がどきりと踊りました。部屋の中にはほこりと古びた家具が並び、時間が止まったかのような静寂が漂っていました。そして、彼が探検するべきとされるカメラのある部屋に向かいました。


カメラのある部屋に足を踏み入れると、彼の目には驚くべき光景が広がっていました。天井からぶら下がったカメラたちが、奇妙な輝きを放っているように見えました。彼は過去の時代の匂いを感じながら、カメラたちが持つ謎めいた力に引き寄せられるようでした。


探検家は慎重に一つのカメラを手に取りました。その瞬間、部屋の雰囲気が一変し、何かが彼に向かって吹き付けるような感覚を覚えました。しかし、彼は恐れを振り払い、カメラを使って周りの景色を撮影しました。


初めのうちは何も変わりませんでしたが、次第に写真に写る風景がねじれ、歪み始めました。探検家は恐ろしさを感じながらも、その現象に引き込まれてしまいました。そして、写真の中におばあちゃんの姿が映り始めたのです。


おばあちゃんは微笑みながら、探検家に手を差し伸べているように見えました。その微笑みは、やさしさと同時に不気味なものでもありました。彼はカメラに取りつかれる恐怖を感じながらも、おばあちゃんとのコミュニケーションを求めるようになってしまいました。


やがて、探検家は自分の周りが現実と幻想の狭間にあるような感覚に襲われました。彼はカメラの力によって、過去と未来、現実と幻想が交錯する世界に引き込まれていくのを感じたのです。写真の中のおばあちゃんは、次第に彼の心の中にまで入り込んでいくようでした。


探検家は必死に抵抗しましたが、カメラの魔力は強大で、彼を徐々に支配していきました。彼は自分が誰なのか、何を望んでいるのか分からなくなり、ただおばあちゃんの微笑みに向かって歩き出してしまいました。


町の人々は探検家が行方不明になったと知り、再びおばあちゃんの家に近づくことを恐れるようになりました。誰もがその家の秘密を忘れようとしていましたが、それでも不気味なカメラたちがおばあちゃんの魂を取り込み、新たな犠牲者を求めて待ち続けているのです。


そして、今もなおその家は町に残り、不気味な光を放つカメラたちが誰かを引き寄せることを待ち続けていると言われています。誰もその部屋に足を踏み入れる者はいませんが、その中ではおばあちゃんの微笑みが永遠に続いているのかもしれません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魂のカメラ - The Camera of Souls O.K @kenken1111

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ