魂のカメラ - The Camera of Souls

O.K

第1話:封印されていたカメラ

かつて、小さな町に住むおばあちゃんがいました。彼女は他の人々とは違う特別な趣味を持っていました。それは、古い家に収集した様々なアンティークや古びた品々を秘密裏に保存することでした。おばあちゃんは、特に古いカメラに惹かれ、彼女が訪れるたびに、それらを床の隠し場所に厳重にしまい込んでいました。


おばあちゃんは、孤独な日々を送りながらも、その古いカメラたちに語りかけるように対話を楽しんでいました。彼女はカメラたちを「古き友よ」と呼び、その古びたレンズを通して見る世界は、彼女にとって心のよりどころでした。


しかし、ある日、おばあちゃんが突然亡くなってしまいました。その悲しい知らせは町中に広がり、多くの人々が彼女のことを偲びました。そして、おばあちゃんの唯一の孫がその家を引き継ぎました。


孫は、おばあちゃんの家を整理することに決めました。彼は懐かしい思い出が詰まった部屋を探検していきましたが、おばあちゃんが隠していたと噂される部屋を見つけることはできませんでした。しかし、偶然のことから、彼は床に隠された古びたカメラたちのある部屋を発見しました。


孫はそのカメラたちに興味を持ち、ひとつ取り出してみることにしました。そして、それを使って自分の周りの風景を撮影してみました。最初は普通のカメラとして機能していたように見えましたが、数日後、奇妙なことが起こり始めました。


孫は写真に写っている背景に、おばあちゃんが亡くなったはずの部屋や庭が映っているのに気付きました。さらに不思議なことに、写真に写るおばあちゃんの姿は、次第に不気味に変わっていくのです。表情が険しくなり、瞳には奇妙な輝きが宿っているように見えたのです。


最初はただの偶然だと思い込もうとした孫でしたが、次第にその写真の中のおばあちゃんが自分に向かって微笑んでいるように感じるようになりました。そして、夜になると、カメラのシャッター音が何度も響くようになりましたが、実際には孫が写真を撮っていない時でも鳴り続けるのです。


孫は恐怖に包まれ、カメラに何かが取りついてしまったのではないかと疑い始めました。しかし、彼はカメラから離れられませんでした。それはまるでカメラが彼を引き寄せているような錯覚を抱かせるほどでした。


日々、孫は次第にカメラの力に取り憑かれ、他の人々との交流を絶ち、家からも出られなくなってしまいました。写真の中のおばあちゃんの微笑みが、彼を縛り付けているように感じられたのです。


やがて、孫は自分がおばあちゃんと同じくらい孤独になったことに気付きました。カメラが取り付かれた彼は、おばあちゃんが亡くなる前と同じような状態になっていたのです。そして、ついには彼自身がカメラの中に閉じ込められてしまいました。


それからというもの、おばあちゃんの家は不気味な事件で知られるようになりました。時折、カメラのシャッター音が聞こえるという話が町の人々に伝わり、誰もがその家から距離を置くようになりました。


孫とおばあちゃんのカメラは、今もなおその家に取り残されたままです。誰もそれらを手に取る者はいないと言われています。それらのカメラには、過去と現在の世界を繋ぐ不思議な力が宿っているのかもしれません。果たして、その家の秘密は永遠に闇に葬られるのかもしれませんね…。

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